地震の影響で脱輪した日暮里「舎人ライナー」/10月8日午前8時(c)朝日新聞社
地震の影響で脱輪した日暮里「舎人ライナー」/10月8日午前8時(c)朝日新聞社

 7日夜、千葉県北西部を震源とするM(マグニチュード)6.1、最大震度5強、深さ75kmの地震が東京、千葉、埼玉など首都圏を襲った。この地震を受けて、各地で水道管が破損したほか、日暮里・舎人ライナーが脱輪するなど各地で被害が出た。東京23区内で震度5強以上の地震が発生したのは、2011年3月11日の東日本大震災以来、10年ぶり。消防庁によると、今朝まで重軽症者は32人も出ている。専門家は「より大きな地震が起きる懸念がある」と警鐘を鳴らす。

【写真】地震の影響で激しく水が吹き出した水道管

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「すごく揺れが長くて、怖かったです。子どもと寝ていましたが、スマホの緊急地震速報の音で飛び起きました」

 こういうのは都内に住む女性だ。夜10時41分ころ、長く、横に揺れる強い地震が起きた。足立区(東京都)や川口市(埼玉県)などで震度5強、東京、埼玉、千葉、神奈川の各地で震度5弱を観測した。

 今回の地震はプレートが大きく動いて起きた地震と見られている。関東の地下には陸のプレートの下に、南からフィリピン海プレート、さらにその下に東からの太平洋プレートが沈み込んで来ている。沈み込んだプレートが動いた分、揺れは大きくなり、広範囲に及ぶのが特徴だ。

 気象庁によると、「階級2の長周期地震動」が起きたという。長周期地震動とは、ゆっくり長く揺れる地震のことだ。7日夜の地震は4階級あるうちの下から2番目の強さだが、物につかまらないと歩くことが難しいほどの揺れだ。

千葉県市原市を流れる養老川にかかる水道管から水が大量噴出していた/10月8日午前0時(c)朝日新聞社
千葉県市原市を流れる養老川にかかる水道管から水が大量噴出していた/10月8日午前0時(c)朝日新聞社

 東北大の遠田晋次教授(地震学)は被害が大きくなった理由を、こう指摘する。

「震源の深さが深い結果、関東の広域で揺れたのでしょう。揺れに弱い部分が露呈した形です。2005年に千葉県北西部で同じような地震が夕方に起きており、鉄道が止まるなど大きな被害が起きています」

 気になるのは、首都直下型地震や南海トラフ地震との関連だ。最近は大きい地震が各地で起きている。6日には大隅半島東方沖でM5.4、最大震度4の地震、岩手県沖でM5.9、最大震度5強の地震が起きている。その他にも9月19日には岐阜県飛騨地方で最大震度4、同16日には石川県能登地方でM5.1、最大震度5弱の地震が起きている。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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