2019年の出雲駅伝で衝撃デビューを果たした駒澤大・田澤廉(右) (c)朝日新聞社
2019年の出雲駅伝で衝撃デビューを果たした駒澤大・田澤廉(右) (c)朝日新聞社

 第33回出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲駅伝)が10月10日に開催される。昨年は新型コロナウイルスの影響で中止となり、今大会は2年ぶりの実施。そして、全日本大学駅伝、箱根駅伝と並ぶ学生3大駅伝の初戦となる、この「出雲路」では、これまで多くの1年生たちが“衝撃デビュー”を果たしてきた過去がある。

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 近年、最も印象的な走りを見せたのは、2019年の田澤廉(駒澤大)だ。青森山田高から大学入学1年目の2019年9月の記録会で当時の5000メートルU20日本歴代10位(13分41秒82)を記録。その勢いのまま、同年10月の出雲駅伝のエース区間3位(8.5キロ)にエントリーした。混戦状態の2位で襷を受けると、吉田圭太(青山学院大3年)、浦野雄平(國學院大4年)、さらに追い上げてきた相澤晃(東洋大4年)という錚々たる面々と並走を続けた後、残り500メートルのスプリント勝負で余力十分に抜け出してトップで中継所へ。同区間で歴代2位のタイム、23分54秒(1位は同年の相澤晃の23分46秒)を記録した。

 この3区は2015年から距離が伸びたが、その前の2012年大会で鮮烈なデビューを飾ったのが、久保田和真(青山学院大)だった。九州学院高時代に1年時から全国高校駅伝で区間賞を獲得するなど世代トップクラスの実績を携えて大学駅伝界へ飛び込み、迎えた出雲駅伝では1年生ながらエース区間(7.9キロ)を担当。トップから13秒差の2位で襷を受けると、3キロ付近で一気に逆転し、そのまま区間賞となる23分13秒の快走を見せ、2位に37秒差をつけて4区へ。最後は4年生の出岐雄大がゴールテープを切り、これが青山学院大の学生3大駅伝初優勝となり、その後の黄金期の礎を築いたのが“ルーキー・久保田”の走りだった。

 佐久長聖高時代から名を馳せ、箱根駅伝で3年連続区間新を記録した佐藤悠基(東海大)も、出雲駅伝でも1年生時から好走した一人だ。2005年、4位で襷を受けて2区(5.8キロ)に挑むと、1位との17秒差を追い付き、さらに残り1キロ付近でトップ集団から軽やかに抜け出して16分43秒で区間賞をマーク。2位に5秒差をつけて1位で3区へ繋ぎ、東海大の出雲駅伝初優勝に貢献した。その前年には高校の1学年上の先輩・上野裕一郎(中央大)が出雲駅伝1区4位のデビューを飾ったが、それを上回る走りを見せ、ここから東海大が大会3連覇を果たすことになった。

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他にも印象的な走りを見せた1年生ランナー