「育ちの良さ」はどのように身につくものなのでしょうか。『AERA English特別号「英語に強くなる小学校選び2022」』では、著書『「育ちがいい人」だけが知っていること』(ダイヤモンド社)が大きな話題を呼んだマナー講師を取材。小学校受験にも生きる、子育てで親が生み出せるものを教えてくれました。

MENU ■「ありがとう」を強制するのは禁物 ■自分の思いを話す機会を定期的に設ける ■育ちの良さを生み出すのは親の姿勢

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 子どもにとって、人生で初めての見本は親になる。無垢(むく)な子どもを社会にどうなじませていくか、親が担う責任は限りなく大きい。

「子どもは親のまねをします」

 こう話すのは、「マナースクールライビウム」の代表を務める諏内えみさんだ。マナー講師として活動しており、「親子・お受験作法教室」も運営する。心地よく感じられる品性や立ち居振る舞いを伝え、多くの親子を第1志望の小学校に送り出してきた。

 諏内さんはマナー講師を務めるなかで「私は普通の家の育ちなので……」「受験に合格するにはやはり育ちの良さが必要なのでしょうか……」という言葉によく出合う。諏内さんによれば、育ちの良さは由緒ある家柄や家庭の裕福さだけに影響されるわけではない。育ちの良さとは心地よさを抱かせる品性や言動のことであり、子どもは親の手引きによって豊かな人間性を育んでいく。諏内さんは「マナーや作法は『あなたに敬意を払っています』と示す“型”のようなものです」と話す。

「おへそを相手に向けることで自然と目が合い、礼節を感じてもらえますし、椅子の真ん中に座ることで姿勢がよくなると、心も整い、好印象を与えられます。時間を守ることは信頼関係を築くうえでは不可欠ですよね。相手を敬う“型”があるからこそ、相手にも受け入れてもらえることを親はしっかりと伝えるべきです」

■「ありがとう」を強制するのは禁物

 諏内さんは、小学校受験で成功する家族には、こんな共通点があると言う。

「親子に限らず、お互いを認め合っている家庭は、みんなが素直な心を持っています。お父さんがお母さんに『ありがとう』と言ったり、お母さんがお子さんに『すごいね!』と言ったり。お互いを受け入れる素直な気持ちは心のゆとりであり、子どもは親のそうした姿を見ています」

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菅野浩二
菅野浩二

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