プロ野球サッカーのような人気の競技ならまだ良い。しかし規模も小さく露出が少ない競技の場合、死活問題になる可能性もある。例えばバスケットボールのNBAやアイスホッケーのNHLといった世界最高レベルの試合がBS、CS放送を含めテレビではほとんど見られなくなった。長年、BS放送でアメリカンフットボールのNFLを中継していたNHKも今季は放映権を取得できず、放送していない。欧州サッカーも同じような流れから楽しめる機会は激減している。このままではお金を払って配信を中心に楽しむか、もしくは一部のスポーツしか見られない環境になりかねない。

「プロ野球、読売ジャイアンツは全国の各テレビ局、テレビ放送によって育てられてきた、という思いが大変強くあります」(19年3月17日/読売新聞グループ本社・代表取締役社長・山口寿一氏)

 巨人は読売新聞、日本テレビというマスコミ企業を親会社に持つことが長年、批判の対象ともなっていた。しかし山口氏が語るように、テレビがあったからこそ世界有数のビッグクラブになれたとも言える。地上波テレビでの中継がなくなれば、競技自体を目にする機会もなくなる。かつて巨人人気が社会現象を起こしたようなことは今後は起こり得ないだろう。またマイナーな弱小スポーツにとっては存続危機にすらなりかねない。日本のスポーツ界はこの先、ネットでのファン獲得がビジネスとして成功できるか否かを左右しそうだ。