日本ハム時代の大谷翔平 (c)朝日新聞社
日本ハム時代の大谷翔平 (c)朝日新聞社

 今季、日本人の本塁打記録を大きく塗り替え、タイトルを争ったばかりでなく、1918年のベーブ・ルース以来の二桁勝利&二桁本塁打にも1勝と迫ったエンゼルス・大谷翔平

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 メジャー移籍後も投打にわたって圧倒的な存在感を発揮しているが、来季はより多くの場面で外野守備に就くと報道されており、守備でも大谷のプレーを見ることができそうだ。日本ハム時代には外野手として出場することもあり、これは「凄い!」という表現がピッタリの超人的な守備を何度も披露していた。

 まずプロデビュー戦となった2013年3月29日の開幕戦(対西武)。8番ライトで出場し、高卒ルーキーとしては、球団では東映時代の張本勲以来54年ぶりに開幕戦スタメンデビューをはたした。大谷は2安打1打点で、60年の矢ノ浦国満(近鉄)以来プロ野球史上2人目の高卒ルーキーによる開幕戦初打点を記録。打者として文句なしの大物ぶりを発揮したが、守備でもあっと驚くスーパープレーを見せる。

 4対3とリードの7回、先頭の1番・片岡治大がカウント3-1から一塁ファウルゾーンに飛球を打ち上げると、大谷はライトの守備位置から猛然とダッシュ。一塁後方フェンス際に体を反らせながら、長い手足を伸ばしてジャンプした。

 あまりにも素早い動きに、スタンドのファンは一瞬何が起きたかわからなかったが、直後、大谷が何事もなかったようにグラブの中からボールを取り出すと、オーっとどよめき、割れんばかりの拍手を贈った。にもかかわらず、大谷が笑顔ひとつ見せず、「捕って当たり前でしょ」と言いたげにそのまま守備位置に戻る姿も印象的だった。

 結果的にこのプレーが6回に自らのバットで挙げた打点とともに生き、チームの開幕戦勝利につながった。

 デビュー戦でのスーパーキャッチに続いて、大谷がイチローばりのレーザービームで2つの補殺を成功させたのが、同年7月9日の楽天戦だ。

 5対0とリードした楽天は6回にも1死から島内宏明が中前安打で出塁し、追加点のチャンス。次打者・聖沢諒も右前安打を放ち、島内は一気に三塁を狙った。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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高卒1年目とは思えぬ守備を披露