官邸で初会見した岸田文雄首相(C)朝日新聞社
官邸で初会見した岸田文雄首相(C)朝日新聞社

 衆参両院で首相の指名選挙が10月4日、国会で行われ、第100代首相に岸田文雄氏が選出された。午後9時から首相官邸で就任後初めての記者会見に臨み、今後の方針や解散総選挙の日程などを発表した。菅義偉前首相のときは「記者の質問に答えない」などの批判があがったが、岸田首相は「誠実だった」と評価が一転。しかし、眞子さまに関する質問を「スル―する」場面もあった。

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「前の首相と比べると、木で鼻をくくったような感じではなくなった」

「記者の質問にしっかりと受け答えていて、誠実な態度だった」

 岸田首相の記者会見後、記者からはこんな声が漏れた。実際、記者会見では岸田首相は記者の質問を時折りメモに取りながら、答えており、噛み合った受け答えが見られた。

記者「個人向けの現金給付を生活支援として行う考えはあるか。支給額や対象についても基本的な考えをお聞かせください」

岸田「コロナ禍において大変苦しんでいる弱い立場の方々、女性や非正規、あるいは学生の皆さんといった弱い立場の方々に個別に現金給付を行うことは考えていきたい。金額等については今後、与党でも具体的な案をしっかりと検討した上で、確定していきたい」

 日本の核兵器禁止条約の署名批准や条約締約国会議のオブザーバー参加に関して「日米首脳会談などでアメリカに協力を求める考えはあるか」と尋ねられた質問では、岸田首相はこう意欲的に答えた。

「具体的な会議の内容について今ここで予断を与えることは適切ではないと思うが、バイデン大統領も既に昨年の大統領選挙の最中に核兵器のない世界を目指すということを世界に向けて発信しています。バイデン大統領とも意思疎通を図る中で大きな目標に向けて何ができるか考えていきたい」

 記者から「(有識者会議の)『新しい資本主義実現会議』は常設なのか」と尋ねられた質問について、別の回答をしている間に質問内容を忘れてしまい、こんなやり取りもあった。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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記者の質問を忘れ、「ごめんなさい」