岸田文雄新総裁(左から3人目)、甘利明自民党・税調会長(左)、安倍晋三前総理、麻生太郎財務相兼副総裁(C)朝日新聞社
岸田文雄新総裁(左から3人目)、甘利明自民党・税調会長(左)、安倍晋三前総理、麻生太郎財務相兼副総裁(C)朝日新聞社

 自民党総裁選の勝利から一夜明けた9月30日、岸田文雄新総裁(64)がいよいよ動き出した。10月1日に党役員人事を正式決定する方針で、同4日に発足させる新内閣の人事などの調整を行っている。注目の二階幹事長の後任は、麻生派の甘利明税制調査会長(72)を起用する方向だという。自民党関係者がこう話す。

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「誰もが驚いたのは、1回目の投票で岸田さんが1位だったことです。河野さんは思った以上に国会議員票が伸びなかった。岸田新総裁誕生の最大の功労者は甘利氏と言われています。最大のライバルだった河野太郎氏が所属する麻生派でありながら岸田陣営の選対顧問を務め、麻生派から河野票を引きはがしました」

 甘利氏は安倍晋三元総理や麻生太郎副総理兼財務相に近く、安倍政権時代、中枢を担った。この3人の頭文字を取って「3A」と称され、河野太郎氏との総裁選・決選投票でも岸田氏をバックアップした。

「自民党の議員たちは切り崩され、来年夏の参院選で河野さんでは戦えないと判断したのでしょう。効率を重視する力強い生き方の河野さんに対し、岸田さんは調和とバランスを大事にする。ただ自民党政権への国民の不信感が高まっている中、自民党の重鎮たちに『八方美人』の姿勢では有権者の心が離れていく。各メディアの世論調査でも示しているように、河野さん、高市早苗さんに比べて岸田さんに対する国民の支持率が高いわけではない。どのような政権運営をしていくか注目されます」(政治部記者)

 岸田新総裁のニュースは海外でも大きく報じられた。アメリカのニューヨーク・タイムズは「国民の好みは反映されず、支持されていなかった菅総理とほとんど差別化できない候補者を選んだようだ」と手厳しく、イギリスの公共放送BBCは、「(岸田新総裁は)平凡で退屈だと言われているが、自民党内では将来のリーダーとして長年期待されてきた」と論じた。

 そして、韓国の中央日報日本語版は、「『刷新』より『安定』、『河野より安倍』。自民党総裁選の結果に対する2つのキーワードだ。事実上総理(10月4日国会決定)になった岸田文雄氏は傷もないが、魅力もない無難な政治家だ。政策的にも性分的にも安定的だ」と分析。

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韓国では「慰安婦合意は有効」とカードに