岸田文雄新総裁の瞬間(C)朝日新聞社
岸田文雄新総裁の瞬間(C)朝日新聞社
 自民党総裁選の投開票が9月29日、行われたが、「想定外」の展開となった。1回目で岸田文雄前政調会長が256票を獲得しトップ。1位と呼び声高かった、河野太郎ワクチン担当相が255票で2位だった。高市早苗前総務相が188票、野田聖子幹事長代行が63票だった。

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 しかし、全体の過半数を獲得した候補者がおらず、決戦投票となった結果、岸田氏が257票で170票の河野氏を破り、自民党総裁の座につくこととなった。

 当選が決まり、挨拶に立った岸田氏は「ノーサイド、全員野球で一丸となって衆院選、参院選に臨んでいこうではありませんか」と晴れ晴れとした表情で語った。岸田派幹部も破顔でこう喜びを語る。

「決戦投票になるとは思っていたが、1回目から岸田氏が1位になれるとは驚き。当初、想定された高市氏との2位3位連合にならなくてよかった」

 下馬評では、1回目はトップ通過が確実視されていた河野氏だったが、岸田氏に1票差で2位という結果だった。河野氏陣営の国会議員はガックリした表情でこう話す。

「議員票では1回目で高市氏に負けて3位、これがすべてです。決戦投票では主要派閥である清和会や麻生派などが岸田氏に流れることはわかっていた。岸田氏から“二階外し”を突き付けられた二階派ですが、わだかまりを捨て、完全に岸田氏に乗りましたね。いくら党員票で強くても、議員に人気がなければ、勝てません。小石河連合を組んだことが議員票では逆効果でしたね」

 首相官邸も新しい主が決まり、胸をなでおろした様子だ。

「ここまで岸田氏が圧勝したことには一様に驚きの声があがりました。安定的な政権基盤の下に新総裁が誕生したことに安堵しているスタッフが多い。岸田さんについては、総裁選を通じ、温厚な人柄と力強さが増し、リーダーとしての覚悟が見て取れたと高評価でした。順当な結果と見る意見が多いです。他方で河野さんは惨敗と言っていいでしょう。切れやすい性格などと報じられてきましたが、リーダーとしての器の差が出た、という声もあります」(官邸関係者)

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小石河連合の処遇は?