眞子さまと佳子さま(c)朝日新聞社
眞子さまと佳子さま(c)朝日新聞社

 眞子内親王と小室さんの結婚を応援している若い女友だちの話を聞くと、自分の人生を内親王の人生と重ねている女性が少なくないことに驚く。

眞子さまには、幸せになってほしいです。私も眞子さまと同じで、結婚しか家を出る方法がありませんでした」

 内親王より少し年上のその女性は、「家柄」を自慢するような家に育ち、親が思う「適齢期」の頃には「ゼクシィ」が山のように積まれ続け「結婚しろ」のプレッシャーを感じるようになった。ひとり暮らしを希望したが「とんでもない」と聞き入れられることは一切なく、「なにはともあれ結婚」と言われ続けた。大学時代から付き合っていた男性(アルバイトで生活をつなぐミュージシャン)との結婚を心から望んでいたが、「あり得ない」と一蹴され、親戚にすすめられた見合いで公務員の男性と結婚したのは29歳の時。夫に恋愛感情を持つことは一切ないが、そうでもしなければ自分の人生は始められなかったと言う。結婚して初めて、自分が選んだ食器をテーブルに並べた時の解放感は今でも忘れられないと言う。これ、100年前の話じゃなくて、今の東京での話だ。

笑顔が眩しい眞子さま(c)朝日新聞社
笑顔が眩しい眞子さま(c)朝日新聞社

 健康に不安を抱えるシングルマザーの母親に育てられた別の女性は、母を一人にできないという思いで、今も高齢の母親と暮らしている。結婚する機会はあったが、どの男性も母親が嫌い、ののしり、否定し、一晩の旅行すら許されず結局諦めてきた。今は強い後悔をしている。結婚すればよかった、ほんとうはそれしか母親から離れる機会は私にはなかった、と。

 また父親や親戚からの性暴力を継続的に子供時代から受けている女性は、家を出るための結婚を急ぐこともある。女のひとり暮らしなど到底許されない支配的で暴力的な空気のなか、家を安全に出られる唯一の手段が結婚という場合もあるのだ。

 眞子内親王は、旧宮家でもなく、お見合いでもなく、「お家柄」でもなく、誰にすすめられたわけでもない一般男性と自らの強い意思で恋愛をした戦後初めてのプリンセスだ。そういう女性に、今、日本の若い女性たちが共感を寄せている背景に、日本を生きる女性たちが沈められている暗い沼の存在が他人ごとではないからかもしれない。内親王の決断は「家を出るため」の唯一の手段に見えるからかもしれない。それなのに、その意思を貫くために約1億5000万円の一時金を辞退したり、日本以外の国で暮らすことを選択したりする状況に追い込んだものは何なのだろう。

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日本のプリンセスを自由にできる「破壊力」