高市早苗氏と安倍晋三前総理(C)朝日新聞社
高市早苗氏と安倍晋三前総理(C)朝日新聞社

 安倍氏が事実上、率いる派閥「清和政策研究会」(清和会)所属の国会議員は総裁選がはじまり、何度か安倍氏の議員会館の事務所を訪れたという。

「安倍氏は高市氏本人にも電話を入れて『記者会見での目線は…』などと指導。部屋の外に声が聞こえるのもお構いなしでした。それを知って、マスコミ関係者もよく部屋の前に集まって聞き耳を立てていた。だが、安倍氏のアベノフォンは最近、鳴りを潜め、周囲にも『ちょっと届かないな』と言葉少なに呟き、『決戦投票でどう派閥が結束するかだ』とも言っていたそうです」

 安倍氏とこれまで対立してきた石破茂元幹事長が今回は河野氏を支援。また河野氏を推す小泉進次郎環境相が「清和会批判」発言をし、河野氏支持へと一時、傾いた安倍氏が高市氏を全面的に推すきっかけとなった。

 盟友の麻生氏も石破氏との仲が芳しくない。麻生派所属の多くは同じ派閥の河野氏ではなく、岸田氏に投じると「星取表」で記されていた。「星取表」を見ると、清和会や麻生派所属の議員には「K」のマークが打たれている。2回目は岸田氏に投票という意味だ。

「決戦投票は清和会、麻生派は岸田氏推しでまとまるとみられている。竹下派も決選投票では岸田氏という方向です」(閣僚経験者)

 そして、もうひとりのキングメーカー、二階氏は今回の総裁選では、3候補に推薦人を出したものの、影が薄い。二階派は9月24日、これまで延期されていた政治資金パーティーを東京都内のホテルで開催。

 だが、来場者はわずかで基本的にはリモート配信での政治資金パーティーになった。

「緊急事態宣言でパーティーは延期かと思っていたが、二階氏が総裁選で二階派結束するため、幹事長在任中にやりたいとなり、決行した。だが、国会議員の参加もリモートなので寂しい感じでしたね。それに会場ではマスコミ関係者も入れず、司会が何度も『写真撮影、録音はご遠慮ください』と繰り返しアナウンスしていた。SNSで拡散してイメージが悪くなるのを警戒していました。二階氏は挨拶で『派閥というと、古臭いニュアンスですが…』と自虐的に言い、かなり気にしていました」(二階派の国会議員)

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二階派はポスト次第で動く?