今季ウエスタンリーグで見事な投球を見せた阪神・村上頌樹 (c)朝日新聞社
今季ウエスタンリーグで見事な投球を見せた阪神・村上頌樹 (c)朝日新聞社

 プロ野球のペナントレースも大詰めを迎えているが、二軍ではイースタンリーグがロッテ、ウエスタンリーグが阪神と一足先に優勝が決まった。今シーズンは両チームとも一軍で好調をキープしているが、果たして二軍と一軍の成績はリンクしているのか。過去のデータから検証してみたいと思う。

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 過去10年間の二軍の両リーグの優勝チームをまとめてみたところ以下のような結果となっていた。

2011年:日本ハム(イ) 中日(ウ)
2012年:ロッテ(イ)  ソフトバンク(ウ)
2013年:ヤクルト(イ) ソフトバンク(ウ)
2014年:ロッテ(イ)  ソフトバンク(ウ)
2015年:巨人(イ)   ソフトバンク(ウ)
2016年:巨人(イ)   ソフトバンク(ウ)
2017年:巨人(イ)   広島(ウ)
2018年:巨人(イ)   阪神(ウ)
2019年:楽天(イ)   ソフトバンク(ウ)
2020年:楽天(イ)   ソフトバンク(ウ)

※(イ)がイースタン、(ウ)ウエスタン

 過去10年で7度の優勝とウエスタンで圧倒的な成績を残しているのがソフトバンクだ。今年も阪神に競り負けたものの僅差での2位となっており、その強さは健在だ。2012年からは5連覇を達成しているが、当時二軍で主力だった選手を見てみると投手では千賀滉大、二保旭、嘉弥真新也、東浜巨、岩嵜翔、野手では牧原大成、中村晃、柳田悠岐、上林誠知などが名を連ねており、その後の一軍でのブレイクに繋がっている。二軍で選手を育てながらチームが勝ち、それが一軍への底上げにも繋がっている好例と言えそうだ。

 しかしウエスタンで再び連覇を果たした2019年以降のメンバーを見ると少し様子が変わっている。投手では多くのイニングを投げている選手の中に中田賢一、スアレス、二保、武田翔太、バンデンハーク、松田遼馬といった実績のある選手が多くなっているのだ。ちなみに武田以外は既に退団している。今年はスチュワート・ジュニア、古谷優人、杉山一樹などが出てきているものの、2010年代の前半と比べると活躍している若手は減っているように見える。野手では三森大貴、リチャード、柳町達、野村大樹といったところが控えており、三軍にも選手を抱えているのは強みだが、一軍を含めて選手の入れ替えが必要な時期となってきていると言えそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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今季優勝の阪神、ロッテは今後強くなる?