ヤンキース時代の松井秀喜(右)とジーター (c)朝日新聞社
ヤンキース時代の松井秀喜(右)とジーター (c)朝日新聞社

 決して“大物”とはいえない1人のメジャーリーガーの解雇が、ある種の衝撃をもって伝えられたのは、今月に入って間もない頃のことだった。

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 その選手の名はホセ・イグレシアス。タイガース時代の2015年にはオールスターに出場し、今季はエンゼルスの正遊撃手としてたびたびアクロバティックなプレーを披露していたとはいえ、10年目を迎えるメジャー歴でタイトルとは無縁の内野手である。そんな選手の去就が大きな話題となったのは、彼が大谷翔平の良き“相棒”だったからにほかならない。

 昨オフのトレードでエンゼルス入りしたイグレシアスは今シーズン、大谷がホームランを打つたびにベンチの前で出迎え、派手に祝福するのが常だった。だからその光景が見られなくなることに、寂しさを感じるファンは少なくなかったのである。

 イグレシアスはエンゼルスを解雇されたのち、レッドソックスと契約。最近ではメジャーリーグの公式インスタグラムが投稿した大谷の写真に「いいね!」を付けたことで、また話題となった。2人の変わらぬ絆に多くのファンがほっこりしたはずだ。

 もっとも、こうした日本人メジャーリーガーとチームメイトの絆や友情は、大谷とイグレシアスに限った話ではない。おそらく初めてクローズアップされたのは、1995年にドジャース入りし、現代の日本人メジャーリーガーのパイオニア的存在となった野茂英雄と“女房役”のマイク・ピアッツァのものだろう。

「今までもことあるごとに話してきましたけど、(ピアッツァは)本当に素晴らしい選手なんです。野球選手としても人間としても尊敬できる。(中略)キャッチャーとしての才能も申し分ない。僕がこれで行きたいと思うボールを、ここ一番の場面では必ず要求してくれる。ふたりの呼吸が乱れることは、まずない。ホント、彼にはどれだけ助けられているか、言葉では言い表せないくらいです」

 メジャー1年目に発売された著書『野茂英雄 僕のトルネード戦記』で、ピアッツァへの感謝を野茂はそんなふうに言葉にしている。初めてバッテリーを組む日本人投手のため、ピアッツァはカタコトながらも日本語を覚え、しばしば「調子いいですか?」、「今日はどうですか?」などと話しかけてきたという。

 1998年5月にはピアッツァがマーリンズへトレードされ、2人は一度は袂を分かった。ところがマーリンズ移籍から1週間あまりでピアッツァがメッツにトレードされると、その2週間ほど後に野茂もトレードでメッツ入り。この年、野茂が新天地で挙げた4勝は、すべてピアッツァとのバッテリー再結成によるものだった。

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松井秀喜、黒田博樹を支えたスター選手との“絆”