風柱・不死川実弥(画像はコミックス『鬼滅の刃』17巻カバーより)
風柱・不死川実弥(画像はコミックス『鬼滅の刃』17巻カバーより)

【※ネタバレ注意】以下の内容には、既刊のコミックスのネタバレ、今後放映予定のアニメの内容が含まれます。

 23日、アニメ1期特別編集版の最後となる「柱合会議・蝶屋敷編」が放送された。この柱合会議では、主人公の炭治郎が鬼になった妹を連れていることが問題となった。これに対して風柱・不死川実弥は怒り狂い、禰豆子を串刺しにするというショッキングなシーンもあった。静観の構えをみせる「柱」もいた中で、なぜ彼はここまで激しい怒りをあらわにしたのか。それには、実弥の過去にまつわる“重大な理由”があった。(本記事はアニメ特別編集版と、原作の漫画『鬼滅の刃』を参照しています)

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■紛糾する柱合会議


 鬼狩り組織・鬼殺隊の中で、屈指の実力者は「柱」と呼ばれている。その柱たちが集う柱合会議で、竈門炭治郎(かまど・たんじろう)が鬼の禰豆子(ねずこ)を連れていることが問題になった。9名の柱たちは竈門兄妹に厳しい言葉を口にする。 煉獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう)は竈門兄妹の斬首を主張し、宇髄天元(うずい・てんげん)も悲鳴嶼行冥(ひめじま・ぎょうめい)もそれに同調した。伊黒小芭内(いぐろ・おばない)は炭治郎をかばった冨岡義勇(とみおか・ぎゆう)の責任にも言及する。裁きに無関心な時透無一郎(ときとう・むいちろう)と、炭治郎に同情的な甘露寺蜜璃(かんろじ・みつり)は、冒頭場面では他の柱の制止等はしていない。

 混乱する柱合会議の中、禰豆子が入った箱を持った不死川実弥(しなずがわ・さねみ)が、恐ろしい形相でその場にやってきた。

<鬼を連れてた馬鹿隊員はそいつかいィ>(不死川実弥/6巻・第45話『鬼殺隊柱合裁判』)


■不死川実弥の異様な態度


<鬼が何だって?坊主ゥ 鬼殺隊として人を守るために戦えるゥ? そんなことはなァ ありえねぇんだよ馬鹿がァ>(不死川実弥/6巻・第45話『鬼殺隊柱合裁判』)

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植朗子

植朗子

伝承文学研究者。神戸大学国際文化学研究推進インスティテュート学術研究員。1977年和歌山県生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科博士課程修了。博士(学術)。著書に『鬼滅夜話』(扶桑社)、『キャラクターたちの運命論』(平凡社新書)、共著に『はじまりが見える世界の神話』(創元社)など。

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鬼をかばうことが理解できない実弥