選手村に導入された段ボールベット寝具。大会組織委員会の北島隆・ビレッジゼネラルマネージャー(左)とエアウィーヴの高岡本州会長(C)朝日新聞社
選手村に導入された段ボールベット寝具。大会組織委員会の北島隆・ビレッジゼネラルマネージャー(左)とエアウィーヴの高岡本州会長(C)朝日新聞社
 大阪府担当者に軌道修正の理由を聞くと、こう回答した。

「東京五輪、パラリンピックが終わった後、大阪府で大規模医療・療養施設の設置を発表したら、エアウィーヴ社からご提案をいただきました。話としては最近です。段ボールベッドがたくさん使用されるような報道もありますが、使っても10床くらいでしょうか。すでに計画通りの医療用ベッドを発注しております。消毒、抗菌が必要なので、段ボールベッドは使用しない可能性が高い。マットレスは東京五輪、パラリンピックの選手村で使用したまま、届くと思います。選手村でもシーツを敷いて使用していたようだ。大阪府でもシーツで対応しますから、そんなにシビアには考えていません。段ボールベッドは医療廃棄物になるでしょうね。しかし、10床ほどですからね」

 主に提供を受けるのはマットレスだという。

「エアウィーヴ社にはマットレス500個をお願いしております。心配なのは、医療用ベッドのサイズと合うのか、まだわかりません。大阪府でも当然、マットレスは発注しておりますから、不足することはない」(同前)

 エアウィーヴ社の寝具は、有名スポーツ選手がCMに起用され、人気が高い。東京五輪やパラリンピックの選手村で段ボールベッドが使用され、さらに知名度はアップした。大阪府幹部はこう話す。

「エアウィーヴという知られたブランド品で、東京五輪やパラリンピックの選手村で使ったものの再利用は好感度が高い、と考えた吉村知事が前のめりになったようです。しかし、医療施設ですから事前に事務方や医師会などの意見を聞くのが常識的な判断です。ただ、大阪維新独特の政治主導、トップダウンの案件なので、おかしなことにならなければいいが…」

 これまで吉村氏はコロナ関連で「前のめりな政治主導」でたびたび物議を醸してきた。

 2020年6月、吉村氏は「大阪市大でワクチンをヒトに投与する」と新型コロナウイルスのDNAワクチンの治験をはじめる記者会見で説明。

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右往左往する事務方