左から総裁選に出馬する河野太郎氏、岸田文雄氏、高市氏、野田聖子氏(C)朝日新聞社
左から総裁選に出馬する河野太郎氏、岸田文雄氏、高市氏、野田聖子氏(C)朝日新聞社

 その理由の一つがキングメーカー・安倍氏の「暗躍」だ。安倍氏は高市氏が出馬表明すると、そうそうに支援を打ち出すツイートをしている。

<コロナ禍の中、国民の命と生活を守り、経済を活性化する為の具体的な政策を示し、日本の主権は守り抜くとの確固たる決意と、国家観を力強く示した高市早苗候補を支持いたします。世界が注目しています。皆さま宜しくお願い申し上げます>。

「高市氏の評判がけっこういいので、安倍氏は『勝負できる』と言い、上機嫌だ」と清和会の国会議員は話す。しかし、懸念もあるという。

「わざわざ若手議員の携帯電話を鳴らして『高市氏を応援してほしい』と話していた。高市氏のことを思っての行動なのでしょう。しかし、若手議員からすれば、安倍氏から電話がきただけでびっくりする。ある議員は『直接、言われると、何も言えない』と苦悩の表情でした。つまり、プレッシャーととらえられてしまう。その存在がとてつもなく大きい安倍氏が、動くことで、反対に作用する危険性もある。今回、岸田派以外の派閥が基本的に自主投票となっているので、余計にそういう印象を与えてしまう。また高市陣営は出陣式で90人を超す人が集まったが、安倍氏の顔色を見て、駆け付けたという議員や秘書もけっこういると思います」(同前)

 総裁選の出陣式では、高市氏は安倍政治とそっくりのフレーズ「日本を守る高市早苗、美しく強く成長する国、日本」と訴え、威勢よく攻める演説だった。総裁選に合わせた新刊本『美しく、強く、成長する国へ』(WAK社)も保守色が濃い。

「安倍氏もさることながら高市氏の思想的なバックボーンは、ジャーナリストの櫻井よしこ氏なんです。櫻井氏は安倍以上に急進的とも言われる伝統的保守論者です。その過激さから高市氏以上にインターネット上の保守層に支持を得ており、その界隈では大きな影響力を持っています。実際、高市氏と櫻井氏は数十年にわたる交流がある。著書でも櫻井氏の思想が色濃く反映されている。櫻井氏が高市政権誕生の暁には、政策ブレーンに就任するとの説も永田町では流れています」(官邸関係者)

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櫻井よしこ氏とのポスター