野々村真(C)朝日新聞社
野々村真(C)朝日新聞社

 新型コロナウイルスに感染したタレント・野々村真の発言が物議をかもした。

【写真】「おバカ」で活躍するも暴言で芸能界を“干された”人気女性タレントはこの人

 9月6日、月曜レギュラーを務める「バイキングMORE」(フジテレビ系)にリモート出演した際、

「申し訳ないですけど、もっと早く菅首相には辞めていただきたかったな、くらいの思い。生死をさまよった人間として言わせてもらいますけど、本当に今、この時点でたくさんの人がまだ苦しんでいる。この政治のおかげで命を失っていることを絶対忘れないでほしい」

 などと語ったことが、賛否両論を巻き起こすことに。「否」とする声のなかには、やみくもで感情的な政府批判への疑問も感じられた。

 野々村は7月30日に感染が判明、8月5日に入院して、25日に退院した。その翌日には同番組にリモート出演して、やつれた姿が衝撃をもたらした。

 ただ、退院3日後の28日にはもうひとつのレギュラー番組である「世界ふしぎ発見!」(TBS系)で元気な姿を見ることができた。感染前の収録だったからだが、スタジオには草野仁や黒柳徹子といった高齢の共演者もいて、このふたりが感染しなかったことにホッとさせられたものだ。

 また、いつもは珍回答を連発する野々村がひとりだけ正解した場面では、草野が「何か悪いことが起こりそう」というシャレにならないツッコミを入れていた。無事に退院できたからこそ、これもカットせずに放送できたのだろう。

 とまあ、いじられキャラの野々村。かれこれ40年、こうした芸風を続けている。「笑っていいとも!」(フジテレビ系)のアシスタント・初代いいとも青年隊として世に出たのは1982年のことだ。これを2年半務めるうちにアイドル的人気を得て、ソロで歌もうたったが、オンチぶりをいじられたりした。さらに、タモリから「童貞」呼ばわりされたり、ファッションセンスのなさをからかわれたりと、当時からヘタレっぽさが売りだったのである。

 それでも初代いいとも青年隊からは、彼だけが生き残った。羽賀研二は映画で松田聖子と共演したり、梅宮アンナとの熱愛で騒がせるなど華のある芸能人だったが、最後は事件で消えることになる。また、久保田篤はそこそこ器用だったが、タレント仕事には見切りをつけ、パチプロを本業にしてしまった。

著者プロフィールを見る
宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

宝泉薫の記事一覧はこちら
次のページ
野々村に目を付けた島田紳助