大坂なおみ (c)朝日新聞社
大坂なおみ (c)朝日新聞社

 女子テニスの大坂なおみへの評価が真っ二つに分かれている。

 身から出たサビで引退も仕方ないとされる国内。低迷からの完全復活を期待する国外。世界的アスリートにも関わらず、信じられないほど真逆な反応の原因はどこにあるのだろうか。

 9月3日の全米オープン・女子シングルス3回戦、世界ランキング3位の大坂は、同73位レイラ・フェルナンデス(カナダ)に敗れた。試合中には感情を爆発させるシーンがあり、第2セットではラケット投げつけ、第3セットでは受け取ったボールをスタンドに向かって強打し審判から警告を受けるなどした。連覇を目指した大会で復活の兆しは見られず、再びコート上で精神面の不安定さを露呈してしまった。

「国内では完全なヒールになってしまった。精神的に不安定なアスリートと捉えられている。テレビ中継でも『残念な行為』『控えた方が良い』というコメントが聞かれたほど。これまでの行動に問題はあったにせよ、コート内外すべてを否定的に見られているので気の毒な状態です」(在京テレビ局スポーツ担当)

 今年の大坂は何かと騒がしい。全仏オープンでは1回戦終了後に記者会見を拒否。罰金を課され、そのまま大会を棄権した。その後、自身のツイッターでうつ状態だったことを明かしウィンブルドン選手権を欠場。東京五輪では聖火リレーの最終走者を務め、実戦復帰を果たしたが3回戦で敗れ去った。

 また、黒人差別に対して抗議するBLM(ブラック・ライブズ・マター)に積極的に関与する言動が話題となった。これに対しては、人種差別啓発運動を支持する声がある一方で、政治的な活動に批判的な見方をするファンも多い。

 とにもかくにも注目を集めるアスリートとなったが、コート上での結果は芳しくない。

「次にどの大会に出るかは決めていない。しばらくテニスから離れたい」

 全米オープン敗退後、記者会見で涙ながらに語ったが、今回の決断に関しては、テニス関係者を中心に支持する声が上がった。また米国など国外のメディアは大坂への同情論とともに復活を期待する声が出始めている。

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米国で多い支持の声