日本企業が生産性の向上を盛んに求められるのには、こうした背景もあるのだ。人件費を抑制することで成り立たせてきた薄利多売の経営モデルは、人口減少時代には通用しなくなることを認識する必要がある。

 一方、高齢者人口で比較すると、日本は4.97%を占める。全世界の高齢者の20人に1人が日本人ということである。いかに日本社会が高齢化しているのかを物語る数字だ。

 社人研によれば、65歳以上人口は2042年に3935万2000人でピークを迎えた後は減っていく。2060年には3540万3000人、2100年には2287万人、2150年には1943万2000人になると予測されている。

 今後は、世界各国で高齢化が進むため、世界規模で高齢者人口が急増していく。それは、世界規模で高齢者マーケットの開拓競争が始まるということでもある。

■他国マーケットとの「若さ」比べ

 日本では総人口の減少に伴い、2043年以降は高齢者数も減少に転じるため、世界の高齢者に占める日本人高齢者の割合は縮小していくが、現時点では世界で最も高齢者の人口密度が高い国であり、高齢者のニーズや身体的特徴などをマーケットリサーチするには絶好の社会環境にある。

 多くの日本企業は、少子高齢化が進む中で細りゆく若者需要の代わりに高齢者マーケットへの依存度合いを高めつつあるが、世界規模で考えるならば他国の企業も黙ってはいまい。シニア向け商品を扱う外国企業との競争も激しさを増してくることだろう。

 日本は島国であるため、視点が内向きとなりやすい。人口の未来図を考えるときも、「何年後に国内人口はどれぐらいの規模になるのか」といったことに意識が働きやすい。だが、国内マーケットの縮小でこれまでのビジネススタイルを維持できなくなることを考えると、今後「未来の年表」を描くにあたっては、「世界の中の日本」という視点が不可欠となる。

 例えば、他国とマーケットの「若さ」を比べてみよう。少子高齢化と人口減少が同時進行する日本と各国との違いがよく分かる。

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