東京五輪では3x3男子日本代表としてプレーした富永啓生 (c)朝日新聞社
東京五輪では3x3男子日本代表としてプレーした富永啓生 (c)朝日新聞社

 東京五輪の日本選手団は、合計58個のメダルを獲得。内訳は金メダル27個、銀メダル14個、銅メダル17個で、金メダルと合計メダル数は史上最多という快進撃だった。獲得ランキングでも米国、中国に続く3位。目標の金メダル獲得30個には届かなかったとはいえ、普段から使い慣れた施設、時差なし、気候など「地の利」を生かしたと言える。

 コロナ禍、しかも緊急事態宣言下ということで開催には賛否があった五輪だが、日本選手たちの活躍に元気をもらえたという方も多かったろうし、多くの感動も呼んだはずだ。下馬評通りに多くのメダルを獲得した柔道競技、10代の若手が大活躍したスケートボードなど注目競技もあったし、北京五輪以来の開催でともに金メダルに輝いた野球とソフトボールも忘れられないハイライトだ。

 また、サプライズでメダル獲得をした競技もあった。その代表格と言えるのが5人制バスケットボール女子の日本代表だ。大会前の世界ランキングでは10位だったが、快進撃を見せ五輪史上初の銀メダルを獲得。これまで五輪では準々決勝までしか進んだことがなかったが、大躍進を見せてくれた。

 予選リーグと決勝トーナメントを通じて、女子チームには語り継がれるハイライトがたくさんあるが、中でもキープレーとなったのが準々決勝のベルギー戦で見せた林咲希(ENEOSサンフラワーズ)の逆転3Pシュートだろう。

 この試合で日本代表は後半に一時13点のリードを許していたが、徐々に点差を詰めると同点とし、試合残り37秒で再度83対85とリードを許したが、残り15.2秒で林のロングシュートが炸裂。このシュートで勝負を決め準決勝に駒を進めた。

 今大会での日本代表は、この3ポイントシュートが際立っていた。強豪国よりも高さとパワーに劣る日本はチームワークと長距離砲が武器。これは大会のスタッツを見ると一目瞭然で、プレーした6試合における3Pシュートの成功率は38.4%で12チーム中トップ。試投数を見ると、1試合平均31.7本にも及び、合計では190本の試投に対して成功が73本だった。成功数2位が日本と同じ6試合を戦ったフランスの49本だから、日本がどれほどロングシュートを多用し、これをオフェンスの核にしていたかが分かる。

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NBAも3Pシュートが得意の選手の活躍が目立つ