河野太郎ワクチン担当相は17日告示29日投開票の自民党総裁選挙に出馬する考えを9月10日、正式に表明した。

 河野氏は総裁選に向けて「日本を前に進める」「自民党を変え政治を変える」などをキャッチコピーに掲げて戦うという。

 元外相で岸田派の岸田文雄会長、高市早苗前総務相に続いて総裁選に出馬表明した3人目の候補だ。

 昨年9月の総裁選では、安倍晋三前首相が率いる清和会(細田派)、麻生太郎副総理兼財務相の麻生派、二階俊博幹事長の二階派などが菅義偉首相を派閥で支援表明し、圧勝した。今回も候補者が派閥支援が得られるかが、大きなカギだった。

 しかし、今回、河野氏が所属する麻生派の領袖の麻生氏は河野氏の出馬について「(河野氏には)やるなら、しっかりとやれ、勝たない選挙ならやめた方がいいと言ってきた」と会見で素っ気なく述べた。麻生派の国会議員はこう語る。

「麻生氏の記者会見の言葉通り。しっかりやれとしか言わない。麻生氏自身は4回、総裁選に出てやっと勝った。その辛さを河野氏によく話していた。また、河野氏が出馬すると世代交代という感が強くなる。派閥や自民党内には当選回数を重ねつつも、閣僚になっていない議員もいる。そのあたりに配慮している。今回、麻生派は派閥として河野氏を支援しないでしょう。半分近くは岸田氏に票が流れると思います」

 10月21日に衆院議員の任期満了となるので、総選挙は10月~11月には実施される。無派閥の若手議員はこう喜ぶ。

「河野氏がやっと表明してくれた。派閥を超えて若手の多くは河野氏を応援しますよ。選挙を戦うには、看板、顔が大事です。今回は派閥の締め付けが昨年の総裁選と比較してあまりない。コロナ禍で幹部から呼び出されることも少ないそうです。河野氏に投票しやすい状況が整いつつありますね」

 岸田氏は小泉純一郎元首相以降の新自由主義的な政治から脱却というリベラル的な政策を発表した。高市氏は出馬表明した時に靖国神社参拝を明言するなど、安倍前首相の路線の継承、保守的な政策を打ち出している。河野氏は改革路線とみられる。

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河野氏を警戒する二階派