Zeebra(撮影/写真部・小原雄輝)
Zeebra(撮影/写真部・小原雄輝)

 愛知県常滑市で8月29日に開催された野外音楽フェス「NAMIMONOGATARI 2021」。約8000人の観客がソーシャルディスタンスを取らずに密集して盛り上がり、マスクをしないで声を張り上げていた客もいたという。コロナの感染が収束せず、緊急事態宣言下という状況を鑑みると考えられない出来事だった。

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 報道によると、愛知県・大村秀章知事は8月30日の会見で、「強く要請したことが守られていないことは極めて問題であり遺憾」とこの野外音楽フェスへの憤りを露わにし、主催者や運営会社に猛抗議。主催者側は公式サイトに謝罪文を出した上で、ガイドラインの5000人を超える8000人を超える観客が集まったのは、常滑市がまん延防止等重点措置地域に指定された20日より前にチケットを販売していたためで、酒類の販売については自粛を求められたがキャンセルできない分には県の担当者に事前に報告して販売したと説明した。この弁明を受け、大村知事はツイッターで「その内容には、自分達に都合の良いように事実と異なる記述がなされていますので、ここに指摘をさせて頂きます」反論し、厳重に抗議する考えを示した。

「主催者側の言い分は苦しいと感じました。酒類の提供が理解を得られるとは考えられないし、『まん防』に指定されなくても感染のリスクを考えて観客は5000人以下にするべきです。音楽、芸術イベントの開催は一様に否定するべきではないと思いますが、こういったルールを逸脱したフェスが開催されると世間の視線はさらに厳しくなる。危機感を持たないとダメですよ」(テレビ関係者)

 この野外音楽フェスに出演したアーティストの「コメント」にも批判の矛先が向けられている。ラッパーのZeebraはイベント終了後に自身のツイッターで、「国民の皆さんに多大なご心配とご迷惑をお掛けした事、ヒップホップシーンを牽引する立場として責任を感じてます。誠に申し訳ありませんでした」、「自分の事務所スタッフは消毒液を配布しながら会場を回り、自分のステージでも注意を促しましたが、そもそも出演すべきでは無かったという意見もごもっともだと思います」、「昨日のNAMIMONOGATARI、県のルールに則ってると聞いていたので出演しましたが、開けてみたら危険な状況でした。会場に向かう最中SNSで会場の写真を見て、すぐにスタッフに連絡をし、司会からマスクの着用を徹底させる様に伝えました」と連続投稿し、反省の意を示したが、コメント欄には「いい大人が言い訳ですか?見苦しい!!向かう最中に気付いたなら、出演前に変わってないのは分かるだろう!!『この状態では出演出来ない』と断るのが大人の対応。『これだからHIPHOPわ!』と言われる。恥を知れ」、「まじでガッカリです、俺は音楽大好きで今のこの世の中大好きなフェス、ライブにも行かず我慢してますがまさかこんなことが行われていたとは、音楽業界がどれだけ我慢してるか分かっているはずですよね?」など怒りのメッセージであふれた。

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