3度目の防衛に成功した井岡一翔(C)日刊スポーツ
3度目の防衛に成功した井岡一翔(C)日刊スポーツ

 プロボクシングWBO世界スーパーフライ級のタイトルマッチが1日、都内の大田区総合体育館で行われ、王者・井岡一翔が15連勝中の同級2位の挑戦者フランシスコ・ロドリゲス(メキシコ)を判定で下し、3度目の防衛に成功した。井岡は日本選手の世界戦勝利数では、自身の歴代1位記録を更新する通算18勝に伸ばした。

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 ジャッジの日本人3人が116ー112と4ポイント差をつけ、井岡が3-0で「判定勝ち」した。だが、この結果に疑問の声も多い。確かに前半の5ラウンドまでは、ロドリゲスの勢いのある左右の連打でクリーンヒットをもらう場面が目立ち、井岡は自身の距離感で戦えずに苦戦した。中盤以降は立て直したが難しい判定だった。試合を生配信した「渡嘉敷勝男&竹原慎二&畑山隆則 公式チャンネルライブ」では、3人の元世界チャンピオンが解説を行い、試合後は畑山が6ポイント差でロドリゲス、竹原が3ポイント差でロドリゲス、渡嘉敷もロドリゲスの判定勝ちと採点。井岡の判定勝ちが発表されると、「我々の見る目がなかったね」と苦笑いを浮かべていた。

 報道によるとロドリゲスは試合後、「自分のホームではないので、こういう採点になるかもしれないという覚悟はあった。ジャッジは3人とも日本人。レフェリーが仕事をしてくれていたら勝てていたと思う」と採点への不満を露わにしたという。

 SNS、ネット上では「挑戦者があまりにも不利。判定で3-0はない。ロドリゲスの勝ちでしょう(原文ママ)」、「挑戦者めちゃ強かったです。手数、積極性どちらも井岡の上をいっていたと思います。日本開催で日本人ジャッジだけではああいう結果になるのでしょう。判定は難しいものだと思いますが井岡が挑戦者より勝っていたシーンは挑戦者より確実に少なかったと思います(原文ママ)」など判定に疑問のコメントが多い。

 一方、ボクシングを長年取材してきたスポーツ紙記者は別の見方をする。

「確かに微妙な判定でした。それぐらい井岡は苦しめられた。ジャッジが日本人3人はコロナ禍で仕方がない。そのことを不公平だと指摘するならば、日本人ボクサーは海外で何度もこれ以上の理不尽な『アウェーの洗礼』を受けてきた。明らかに判定勝ちなのに、海外のホームアドバンテージで不利なジャッジをつけられて負けたシーンを何度も見てきました。それに比べれば、今回の試合でロドリゲスが試合内容で圧勝したかと言えば疑問が残る。序盤は優勢だったが、6ラウンド以降は井岡のボディー打ちに足が止まり手数も少なかった。11、12ラウンドで圧倒していれば結果は逆だったかもしれないが、井岡の判定勝ちは不可解とまでは言えない」(スポーツ紙記者)

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