巨人・原辰徳監督(c)朝日新聞社
巨人・原辰徳監督(c)朝日新聞社

 いよいよ佳境に入ってきたプロ野球のペナントレース。なかなか1チームが抜けだすような展開にはならず、セ・パともに最終盤までもつれる可能性は高そうだ。少し気が早いが日本シリーズの話をすると昨年までソフトバンクが4連覇を達成しており、直近の2年間は巨人に対して8連勝と圧倒的な強さを見せている。もし今年も同じカードとなれば史上4度目の3年連続同一チームによる対戦となるが、果たしてその可能性は高いのだろうか。両チーム、そして同一リーグのライバルチームの状況から探ってみたいと思う。

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 まずセ・リーグだが、開幕直後から順調に首位を走ってきた阪神に巨人とヤクルトが6月以降追い上げを見せて、完全に3強状態となっている。しかし戦力的にはやはり巨人がわずかにリードしていることは間違いないだろう。投手陣ではエースの菅野智之、中継ぎの中心である中川皓太がともに故障で離脱していたがここへ来て一軍へ合流。菅野は復帰登板で打ち込まれたものの、中川は3試合連続で無失点と安定した投球を見せている。菅野の状態が上がってくれば一気に貯金を増やす可能性は高い。

 更に大きいのが先発ではメルセデス、リリーフではビエイラの若手外国人の成長だ。メルセデスは開幕こそ出遅れたもののここまで7勝1敗と大きく勝ちが先行。ビエイラはシーズン途中から抑えに定着すると、球団記録となる30試合連続無失点と大車輪の活躍を見せている。仮に菅野、中川の調子がなかなか上がってこなくても、この2人である程度カバーできる部分は多いだろう。

 野手陣では幸運な形で中田翔を獲得したことがやはり大きい。ここまで7試合の出場で2安打とまだ本領発揮とは言えないが、8月22日のDeNA戦ではレフト上段への一発を放っており、さすがの長打力を見せている。坂本勇人丸佳浩岡本和真、ウィーラーと力のある打者が並ぶ打線だけに、マークが分散されるのも大きい。短期決戦のCSを勝ち抜くにはもう少し先発投手の整備は必要になりそうだが、それでもセ・リーグではリーグ優勝、日本シリーズ進出に最も近い位置にいると言えそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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