東京パラリンピックの開会式に出席するため、再来日していた国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が8月25日夜、ひっそり帰国した。

 パラリンピックの開会式に招待されていたバッハ氏は23日に来日。だが、特例として隔離措置は取られず、物議を醸した。

 政府分科会の尾身茂会長は25日の衆院厚生労働委員会の閉会中審査で、「なんでわざわざ来るのかと。そこでは、そういうことをなぜ、普通のコモンセンス(常識)なら(判断が)できるはずなんですね」と苦言を呈していた。

「銀ブラをしたり好き勝手な行動をしたバッハ会長が再来日することに政府もJOCも『NO』と言えない。東京五輪は利権が絡んでいるからです。視線がIOCにばかり向いているから、国民の思いに気づかない。不要不急の外出を呼び掛けてもこれでは説得力がないですよ」(スポーツ紙記者)

 一方、東京パラリンピックでアスリートたちが連日、奮闘している姿に、心を揺さぶられる視聴者は多いのではないだろうか。

 24日夜に開催された開会式は日本国内だけでなく、世界中から「感動した」、「ハイクォリティーな構成、演出で圧巻」と絶賛の嵐だった。

「WE HAVE WINGS(我々には翼がある)」をコンセプトに行なわれたイベントで、開始を告げるダンスパフォーマンスには、公募で選ばれたダンサーたちが登場。タレントのはるな愛の姿も見られた。車いす俳優のはしぐちしんさんなど様々な障害や個性を持ったダンサーがポップな音楽に合わせ、笑顔で息の合ったパフォーマンスを披露した。

 印象深かったのが、演劇「片翼の小さな飛行機」だ。主人公として抜擢されたのは、羊膜索症候群や関節拘縮症により上肢下肢に機能障がいのある13歳の和合由依さん。オーディションで選ばれたが演技経験がないとは思えない。その表現力は圧巻だった。和合さんは、翼が1つしかないために飛ぶことを躊躇する様子を表情と全身で表現。

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五輪との演出の差は?