巨人へ加入した中田翔(右)と原辰徳監督 (c)朝日新聞社
巨人へ加入した中田翔(右)と原辰徳監督 (c)朝日新聞社

 8月13日に後半戦がスタートしたプロ野球。東京オリンピックの影響で約1カ月間という異例の長期中断となり、代表チームに招集されていた選手の状態も気になるところだが、再開後の戦いぶりから前半戦との違いなどを検証してみたいと思う。

 まずセ・リーグは阪神巨人ヤクルトの3強状態が続いており、よほどのことがない限りこの3チームのCS進出は決定的な状況と言える。東京オリンピックに参加していたメンバーを洗い出してみると阪神は青柳晃洋、岩崎優、梅野隆太郎、巨人は坂本勇人、メルセデス、サンチェス、ヤクルトは山田哲人、村上宗隆、マクガフとそれぞれ主力が名を連ねており、そういう点では大きな差はないように感じる。

 オリンピックでのプレーぶりではリリーフで打ち込まれた青柳の状態が不安視されていたが、後半戦最初の登板となった8月17日のDeNA戦では6回を投げて2失点としっかり試合を作って勝ち投手となっており、大きな問題はなさそうだ。他も大きく調子を落としている選手は見当たらず、村上は再開後にホームランを量産するなどむしろ調子を上げており、そういう意味ではオリンピックに出場した反動などの影響はないと見てよさそうだ。

 そうなるとそれ以外の選手の上積みがポイントとなりそうだが、気がかりなのが3チームのエースの状態である。西勇輝(阪神)は再開後の2試合はいずれも序盤で大量点を奪われて負け投手となっている。これで前半戦からの連敗は5に伸び、4勝8敗と大きく負け越している状況だ。

 二軍での調整が続いていた菅野智之(巨人)は8月19日に行われたイースタン・リーグのロッテ戦でようやく実戦復帰。4回を投げて1失点とまずまずの内容にまとめたものの、ボールが続く場面もあり、完全復活とは言いづらい。26日の広島戦で一軍復帰と見られているが、今後のシーズンを占ううえで極めて重要な登板となりそうだ。小川泰弘(ヤクルト)も7月7日に新型コロナウイルス感染が判明してチームから離脱。8月に入って実戦復帰を果たし、24日の二軍戦では6回を投げて四死球0、1失点と順調な回復ぶりをアピールした。こう見ると不調の西、故障明けの菅野に比べると、小川の状態が一歩リードしているとも言えそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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巨人の中田翔獲得は大きなプラスか