元慰安婦の支援団体である正義記憶連帯(韓国挺身隊問題対策協議会の後継団体・以下は旧挺対協)前理事長のユン・ミヒャン国会議員が過去に日本の空港で犯罪者扱いを受けたと主張したことが、韓国の複数メディアで報じられて波紋を呼んでいる。

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 報道によると、ユン議員は8月14日に日本の市民団体が主催した「金学順公開証言30年・日本軍慰安婦被害者の日」オンラインセミナーの講演に出席した際、明らかにしたという。

 ユン議員は「2017年8月11日に大阪の空港ですぐにおかしな事務所に連れて行かれた」と話し、「(事務所で)30分から1時間にわたり『なぜ来たのか。どこへ行くのか。大阪でだれに会うのか』などほとんど取り調べをするような犯罪者扱いを受けた」と訴えたという。

 また、「広島空港では『下着が入っているのか。ドルの札束や銃器類、麻薬はあるか』という質問を受けた。不当な調査で脅迫され、不快な気持ちになった」とも告白した。

 ユン議員は当時、こうしたことがなぜ起きるのか、わからなかったという。だが、同10日に韓国MBCテレビで放映された報道番組「PD手帳」がその騒動の詳細を報じた。ユン議員と日本軍慰安婦被害者たちの来日時に韓国国家情報院が事前に日本の公安当局と右翼団体に情報を与えていた、と番組で言及したのだ。

「なぜ、朴槿恵政権当時にこのようなことが起きたのだろうか」ともユン議員は14日のオンラインセミナーで訴えた。だが、大阪を訪問し、空港で犯罪者扱いを受けたと主張する17年8月は、文在寅政権が発足した後で事実誤認もみられた。
 
 ユン議員は旧挺対協の寄付金流用事件で、補助金管理法違反や詐欺、業務上横領など8つの罪で在宅起訴され、現在、裁判を受けている。検察によると、ユン議員らは、団体が運営する「博物館」が国の定める登録要件を満たしているように装い、文化体育観光省とソウル市に補助金を申請。
 2013年から20年にかけて、計約3億ウォン(約2900万円)を不正に得たとされる。さらに認知症の元慰安婦の意思をきちんと確認せず、計7900万ウォン(約760万円)を寄付させ、寄付金を個人的に使ったりしたとされる。

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ユン議員の告発に政府はどう対応するのか?