「宮本容疑者は営業が終わるまで居座って犯行に及んだようだ。稲田さんを殺害した後、店のカギを探し、施錠して発覚を遅らせようとした形跡がある。犯行後はそのまま兵庫県西宮市の自宅に戻ったようだ。宮本容疑者は、営業が終わり、稲田さんと2人になれるタイミングを見計らったようだ。計画性のある犯行と思われる。稲田さんは店の関係者に宮本容疑者が帰るまで、『一緒にいてほしい、2人っきりになりたくない』と、頼んでいたこともあった」(捜査関係者)

 宮本容疑者が稲田さんに執着していたのかがわかるのは、SNSからもうかがえる。宮本容疑者のものと思われるツイッターから稲田さんがSNSに投稿する度に、コメントがつけられていた。

 犯行の日、6月11日、午前8時23分に稲田さんが<ブログを更新しました。『るんるん~』>とツイートすると、午前9時58分に<リフレッシュ完了にやにやした顔 今日からがんばれ~>と宮本容疑者はコメントをつけた。

 その後、午後1時20分に、稲田さんが<昨日はソロハイキングしたぜ。帰り道のラーメン幸せ^_^>と奈良県に一人でハイキングに出かけて、ラーメンを食べた様子をつづると、2時17分に宮本容疑者は<ラーメンのためのハイキングか~>と返信。

 ほぼ毎日、ツイートしている稲田さんにコメントをつけている。

中には<今日も運動するのかな? ますますキレイになるんだね~><(稲田さんが)いなくていいのかな~看板がいないなんて?>と稲田さんへの執着が読み取れる返信もあった。

 また、稲田さんの料理を宮本容疑者が<小料理も多くなってきたね~ 店長の努力の賜物だね>とほめるレスポンスをつけると、<いつもほめ殺しどうもです>と稲田さんが返信していた。

 宮本容疑者は兵庫県西宮市のマンションに妻と2人の子供と住んでいた。それでも終電近くまで稲田さんの店にいることもあった。

「奥様は時々、顔を合わせることがあったが、宮本容疑者はよく知らない。ごく普通のサラリーマン家庭に見えた。昨日から捜索で警察が来ていたようです。宮本さんが逮捕されたとニュースで知って本当に驚いた」(近所の人)

 事件のあった稲田さんの店のあるビルには、たくさんの花がたむけられていた。別の常連客もこう語る。

「稲田さんは宮本容疑者に見張られているような気がする。かなり粘着質だとイラついていたようだ。宮本容疑者は店で稲田さん以外とはあまり会話をしなかった。しかし、妻子がいることは店で隠していなかった。どこから見ても、年齢相応のおっさんでした。稲田さんと釣り合わない。どうしてこんな凶行に及んだのか、理解できない。稲田さんの冥福をお祈りするばかりです」

(AERA dot.編集部 今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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