※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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不安症データ
不安症データ
社交不安症 悪循環のメカニズム
社交不安症 悪循環のメカニズム

「不安症」は、不安が大きすぎてふつうの生活が送れなくなる精神疾患だ。不安を感じる対象や症状の出方によって、人とのかかわりや人前での行動に強い不安を感じる「社交不安症」や、激しいパニック発作を恐れる「パニック症」、特定の対象はなく次から次へと不安になる「全般不安症」など、いくつかのタイプに分けられる。若い世代で発症しやすいが、治療で改善できる。

【データ】不安症にかかりやすい年代は?主な症状は?

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 不安症の主な治療法には「薬物療法」と「認知行動療法」があり、いずれのタイプにも効果がある。

 薬物療法で主に使われる薬は、抗うつ薬の「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」だ。岐阜大学病院精神科教授の塩入俊樹医師はこう話す。

「不安症の原因ははっきりしていないものの、脳の中で感情をコントロールしている扁桃体の活動が必要以上に活性化することも一因と考えられています。SSRIには扁桃体の過活動を抑える作用があり、不安が起きにくくなります」

 SSRIは1年半以上飲み続ける必要があるが、1日1回の服用で済むものが多く、使いやすい。飲み始めには吐き気や下痢などの胃腸症状が出ることがあるものの、ほとんどが1週間以内に消失する。ただし、まれながら不安やイライラが強くなることもあるので、注意が必要だ。

 また、SSRIが効果を発揮するまでには2~4週間ほどかかる。そのため、不安がとても強かったり、パニック発作が毎日起きるような場合には、即効性のある「抗不安薬」を、SSRIの効果が表れるまで併用することもある。

 抗不安薬を服用すると、通常は20分ほどで不安や恐怖がやわらぐが、長期間使用すると、薬の効き目が弱くなる「耐性」を生じやすい。

「抗不安薬は補助的に利用しながら、SSRIを中心とした治療を進めていきます。SSRIを1年半から2年間飲み続けると、扁桃体の活動は正常化し、SSRIを中止できることが少なくありません。再発がないまま2年3年と時間が経つと、患者さんに自信がついて、ずっと薬なしで過ごせるケースもあります」(塩入医師)

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