「前方の車両から人がなだれこんできた。『男が刃物を振り回している』と叫びながら次々と人が後方に移動していった」(乗客)

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 8月6日午後8時半ごろ、帰宅ラッシュの電車内で事件は発生した。小田急線「成城学園前」―「祖師ケ谷大蔵」間を走っていた藤沢発新宿行きの快速急行に乗っていた男が20代の女子大学生の胸や背中などを長さ約20センチの包丁で刺した後、周囲にいた9人の乗客に次々と襲いかかった。

「男は先頭から4両目の車両から2両目までを移動しながら、複数の乗客を手にした包丁で切りつけていった。女子大学生は7カ所を刺され重傷で他の9人は命に別状はない。3両目では食用油をまいて火を付けようとしたらしい。牛刀も準備していた。その後、自ら非常用ドアコックで緊急停車させて祖師ケ谷大蔵駅近くで包丁や携帯電話を放置して線路上を徒歩で逃げた」(捜査関係者)

 警視庁はその後、現場から約4キロ離れた杉並区高井戸のコンビニで男の身柄を確保した。殺人などの容疑で逮捕されたのは、川崎市多摩区に住む職業不詳の対馬悠介容疑者(36)だ。

 対馬容疑者は店員に「ニュースに出ている犯人は俺です。逃げるのに疲れた」と名乗り出たことから店員がすぐに110番したという。

「男(対馬容疑者)は10人以上の警察官に取り囲まれながらパトカーの後部座席にすぐに乗せられていた」(目撃者)

 捜査一課の調べに対して対馬容疑者は「幸せそうな女性を見ると殺したいと思うようになった。誰でもよかった。刃物がうまくいかなければ、電車内で油を撒いて火をつけようと思った。逃げ場がない電車なら大量に人を殺せる」などと供述しているという。

 対馬容疑者は当日、都内の食料品店で万引きしたとして店から通報され警察の事情聴取を受けていたという。その際に対馬容疑者はカッターナイフを所持していたという。警察官に説諭され、自宅まで送り届けられた対馬容疑者はその後刃物や油を持って小田急線に乗り込んだとみられる。

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刃物テロから身を守る方法は?