強制捜査を受けた遠山清彦・前財務副大臣(C)朝日新聞社
強制捜査を受けた遠山清彦・前財務副大臣(C)朝日新聞社

 全国の新型コロナウイルスの新規感染者が連日、過去最多を更新する中、東京五輪のメダルラッシュに沸くというチグハグな状態が続くニッポン。その中枢で激震が走る出来事があった。

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 東京地検特捜部が密かに8月4日、公明党の吉田宣弘衆院議員、太田昌孝衆院議員の議員会館事務所に家宅捜索に入っていたのだ。

 容疑は両議員の元秘書2人が登録貸金業者となっていないにもかかわらず、政府系金融機関と融資先の仲介業務に関与した貸金業法違反だ。2人の元秘書は仲介業務で多額の報酬を得ていたとされる。

 議員会館事務所には何人もの特捜部の捜査員が出入りし、報道陣が取り囲む中、段ボール箱を持ち込むなどあわただしい様子だった。

「突然のことで本当に驚いた。解散総選挙がいつあるかとソワソワしている時期に特捜部が突然、議員会館にやって来て捜索でしょう。両事務所の2人の秘書が最近、クビになったので何かあったのかと思っていた矢先でした。大きなヤマになるのではないか」

 こう不安そうに話すのは公明党の国会議員だ。

 今回の捜索で注目されるのは、2人の元秘書に仲介を受けた融資先である再生可能エネルギー関連会社、テクノシステム社だ。AERAdot.でも既報(5月21日配信)したように、テクノ社の社長だった生田尚之被告らが東京地検特捜部に詐欺容疑で逮捕、起訴されている。

 テクノ社と関係が深い議員の一人が、公明党の遠山清彦前衆院議員だ。
遠山氏は今年1月、緊急事態宣言下で深夜、クラブで飲食していたことがメディアで報じられ、議員辞職に追い込まれた。

 貸金業法違反の疑いがある2人は、遠山氏が衆院議員時代に秘書を務めていた。遠山氏の議員辞職後、2人は吉田議員、太田議員の秘書になっていた。

 テクノ社は遠山氏の「タニマチ」として知られた会社だった。遠山氏は2017年、自身が代表を務める公明党衆議院比例区九州第2総支部にテクノ社から100万円の政治献金を受領している。生田氏が19年1月に横浜の中華街に高級しゃぶしゃぶ店を開店した際も小泉純一郎元首相、鳩山由紀夫元首相、麻生太郎副総理兼財務相、小池百合子東京都知事らとともに遠山氏が花を贈っていた。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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東京地検特捜部の狙いは大物か?