今年5月、マラソンテスト大会の様子(C)朝日新聞社
今年5月、マラソンテスト大会の様子(C)朝日新聞社
松野明美さん(C)朝日新聞社
松野明美さん(C)朝日新聞社

 全国的な猛暑が続く中、暑さ対策が話題となることも多い東京五輪。8月5日、6日に競歩、7日、8日にマラソンが行われる北海道札幌も例外ではなく、連日30度を超える真夏日となっている。この暑さの中、競技を行うリスク、熱中症の危険性を取材した。

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 陸上女子10000mの選手としてソウル五輪に出場、その後マラソンに転向して活躍した松野明美氏は、選手の感じる暑さについてこう語る。

「気温ももちろんですが、日本の夏は湿度が高いですよね。湿度が高いと同じ気温でもランナーにとってはより暑く感じるので、過酷なレースになると思います。気温が30度でも、アスファルトの上はそれよりかなり温度が高くなりますから、暑さはかなり感じると思います」

 気象庁によると、女子マラソンが行われる7日の札幌の予想最高気温は34度、男子マラソンが行われる8日は32度で共に真夏日と予想されている。(8月4日現在)暑さ対策もありレースの開始時間は朝7時に設定されているが、予想最低気温も両日とも25度を下回ることがない。

 マラソン選手の熱中症対策はどのようになっているのだろうか。松野氏は今も昔もあまり変わっていない、と語る。

「基本的には日差し対策のサングラス、帽子、こまめに水分補給を取るとかですね。あとは、スポンジで首の後ろや太ももの後ろに水をかけることもあります。水をかけることによって、体温が少し冷えるんですよね。それ以外は、あまり進んでいないというか、私が思うには対策のしようがないんだなと思いますね」

 基本的な対策をするしかないということだが、暑さというのは、選手に一体、どのくらい影響するのだろうか。松野氏によると、特に気を付けなければならないのは「調子の良い選手」だという。

「体の調子がいいと、あんまり水分を欲しがらない時も出てきます。調子が悪いとちゃんと5キロ地点から、水分をこまめにとっていこうと思うんですが、調子がいいと、どうしても前に前にと思ってしまいますから。5キロ10キロくらいはいいか、と思ってしまう。それが30キロすぎに影響して失速してしまうこともあるので、非常に気を付けないといけないと思いますね」

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4割棄権の可能性も