日本代表デュエットの乾友紀子・吉田萌は4位でメダルに届かず… (c)朝日新聞社
日本代表デュエットの乾友紀子・吉田萌は4位でメダルに届かず… (c)朝日新聞社

 シンクロナイズドスイミングからアーティスティックスイミングに名称が変わってから、初めてのオリンピックとなる東京五輪。デュエットで日本は4位に終わり、表彰台に乗ることはできなかった。

 デュエット種目で、日本は2017年世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)、2019年世界選手権(韓国・光州)と2回続けてライバル・ウクライナに敗れ、4位に終わっている(世界選手権のデュエットは、テクニカルルーティン[以下TR]・フリールーティン[以下FR]の2種目に分かれている)。開幕前から厳しい戦いが予想されていたが、日本代表デュエットの乾友紀子・吉田萌は井村雅代ヘッドコーチの指導の下、たくさんの練習を積んで東京五輪を迎えた。

 五輪のデュエットはFR予選から始まり、TR、FR決勝と3日間の戦いになる。日本は初日のFR予選でウクライナにちょうど1点差をつけられての4位発進となり、3日間を通して劣勢を覆すことができなかった。

 五輪出場は3回目となる日本のエース・乾に対し、相方として2018年に抜擢された吉田にとっては初めての五輪で、吉田にかかる重圧の大きさは、終始硬かったその表情からもうかがえた。TRでは初音ミクの声に乗り、FRではロボットを演じるなど、地元での五輪に向け井村コーチが趣向を凝らしたルーティンを懸命に泳いだが、表彰台に上ることはできなかった。

「今までたくさん練習してきたので『絶対にできる』っていう気持ちを持って泳ぐことはできたんですけど、目標としていた順位には届かなかったので、悔しい気持ちはあります」

 乾は、テレビのインタビューでそう語っている。横で言葉も出ないほど意気消沈している吉田に対し、乾は感謝の気持ちを口にした。

「今回吉田選手はオリンピック初出場で、デュエットを組んでから、私以上に大変だったり、すごいプレッシャーもあったと思うんですけど、ここまで投げ出さずに一緒に二人で戦うことができたのは吉田選手のおかげなので、私は感謝しています」

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