享栄・竹山日向(写真提供・プロアマ野球研究所 PABB)
享栄・竹山日向(写真提供・プロアマ野球研究所 PABB)

 2年ぶりに行われる全国高校野球選手権。8月2日に49地区の代表校が出揃ったが、惜しくも出場を逃しながらもドラフト候補として高い注目を集めている選手は少なくない。今回はそんな甲子園の舞台でプレーを見たかった逸材たちをピックアップして紹介したいと思う。なお小園健太(市和歌山)、達孝太(天理)、市川祐(関東一)など過去に出場経験のある選手は対象外とした。

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 投手でやはり真っ先に名前が挙がるのは森木大智(高知)になるだろう。中学3年時に軟式ボールで150キロをマークし、当時から大きな注目を集めていた投手である。高校進学後は小さな故障も重なって県内でもなかなか勝ち進むことができず、昨年秋にはようやく四国大会に進出したが初戦の高松商戦で被安打11、5失点(自責点4)と崩れて選抜出場を逃した。そして迎えた最後の夏も県内最大のライバルである明徳義塾に決勝で敗れている。

 中学時代のインパクトが強かっただけに成長ぶりを心配する声もあるが、高校入学当初と比べるとあらゆる面でレベルアップしていることは間違いない。以前は目いっぱい腕を振ってバランスを崩すことも目立ったが、今は体つきも一回り大きくなり、力みのないフォームでコンスタントに140キロ台後半をマークするようになっている。またスピードがクローズアップされることが多いが、スライダー、フォークなど変化球の質も高く、コントロールも安定している。総合力では小園とこの夏の甲子園で最注目と言われている風間球打(ノースアジア大明桜)と並ぶ存在であり、ドラフト1位指名の可能性は極めて高いだろう。

 森木に次ぐ右投手では田中楓基(旭川実)、黒田将矢(八戸工大一)、竹山日向(享栄)、篠原颯斗(池田)、山本大揮(九州国際大付)などの名前が挙がる。中でもこの夏最も評価を上げたと思われるのが竹山だ。下級生の頃から素材の良さには定評があり、2年時には早くも140キロを超えるスピードをマーク。春の東海大会では脚を痛めた影響で短いイニングでの登板にとどまり、この夏も完全な状態ではないように見えたが、それでもストレートは150キロを超えるまでスピードアップし、改めてポテンシャルの高さを感じさせた。フォームに悪い癖がなく、体ができてくればまだまだ速くなりそうな雰囲気があり、巡り合わせによっては上位指名も期待できそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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