日本卓球界初の金メダルを獲得した伊藤(左)と水谷(写真/Gettyimages)
日本卓球界初の金メダルを獲得した伊藤(左)と水谷(写真/Gettyimages)

 東京五輪で日本のメダルラッシュが目立つ一方、今大会で問題視されているのが、アスリートに対するSNS上での誹謗中傷だ。

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 ネット上で話題になったのが、女子バドミントンの1次リーグで27日に開催された中国ペアと韓国人ペアの対戦だった。中国の陳清晨が試合中に罵倒する言葉を繰り返し叫んでいた動画が拡散され、「みっともない」など批判の声が多く寄せられた。陳が釈明する事態になったが、スポーツ紙の記者は複雑な表情を浮かべる。

「陳の発言がフォーカスされていますが、最初に目立ったのは得点が入る度に大声で叫んでいた韓国ペアです。中国側を挑発していたととられかねない雰囲気で、陳も苛立っていたように感じた。試合の一部を動画で切り取られて、『陳が暴言を吐いた』と叩くのは気の毒に感じました」

 日本人選手が脅迫まがいの誹謗中傷を向けたケースも度々起きた。卓球混合ダブルスで水谷隼、伊藤美誠ペアが中国代表の許キン、劉詩ブンペアを破って、日本卓球界初の金メダルを獲得した際には、水谷と伊藤に中国語で「荒らし」の書き込みが殺到。水谷は28日に自身のツイッターを更新し、「とある国から、『○ね、くたばれ、消えろ』とかめっちゃDMくるんだけど免疫ありすぎる俺の心には1ミリもダメージない」と告白し、大きな反響を呼んだ。

 卓球を取材するテレビ関係者は「誹謗中傷を書き込んでいる人間は感情に任せてストレス解消のつもりでやっているんだろうけど、書かれた人間は心が強い人間ばかりではない。やっていることは犯罪行為と変わらないと思います」と語気を強める。

 アスリートがSNS上の批判に反論して、さらに炎上する事態も起きた。金メダルの有力候補だった男子水泳のエース・瀬戸大也が400m個人メドレーで最後に失速し、まさかの予選敗退。レース後に「リオで予選を結構いってしまって、決勝上がらなかったというのがあったので、そういう経験も踏まえて、かなり泳ぎの方が良かったので、後半から上げてくる子たちが多かった中で焦らず、明日上がるように泳げばいいやと泳いだんですけど」と発言すると、SNS上で、「調子に乗りすぎ」、「言い訳するな」など批判のコメントが殺到した。瀬戸は続く200メートルバタフライの予選で敗退し、「いろいろ言われてめっちゃむかつきますけど……。戦っているのは自分だし、気にもしつつ、あまり気にしない所もあるので。そういうのも含めてパワーに変えていきたい」とコメントすると、批判の書き込みが集中し、昨年9月の不倫騒動も蒸し返される事態になった。

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