※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 オリンピックでスポーツ選手の活躍を見ていると、皮膚科医は気になってしまうところがあるといいます。近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師が、スポーツとかかわりの深い紫外線と汗の対策について解説します。

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 東京オリンピックもあと数日で閉会式です。コロナ禍での開催であったため選手も裏方の人も大変だったと思います。私もテレビで日本選手の活躍を見ていました。オリンピック出場までのそれぞれの物語に感動しながらも、つい職業柄気になってしまう部分もありました。それは、屋外競技での紫外線と汗です。

 真っ黒に日焼けしたスポーツ選手は、テレビでは健康的でカッコよく映ります。しかしながら、紫外線はしみ、しわ、皮膚がんの原因になります。年をとってから紫外線対策をすればよい、というわけではなく、小さな頃から紫外線を浴びないことが重要です。なぜなら、皮膚の細胞が受けた紫外線のダメージは幼少期からの積み重ねが大きいからです。

 日焼け止めも塗らずに無防備で屋外に出ると、皮膚の老化を促進する紫外線波長のUVBとUVAの両方を浴びてしまうことになります。このため、しっかりと日焼け止めを塗る必要があります。日焼け止めには、UVBに対する防止効果を示すSPFと、UVAに対する防止効果を示すPAが表示されています。どちらの数値も高いものを使うようにしましょう。そして、日焼け止めは2回塗りを原則とし、3時間経過した場合は塗り直しが必要です。

 屋外でスポーツをする場合、汗で日焼け止めがすぐに取れてしまいます。3時間に1回の日焼け止めでは不十分ですので、水分補給とあわせて日焼け止めを塗るようにしましょう。とても面倒ではありますが、無防備に丸一日直射日光に当たるのは危険です。

 また、日焼け止めは紫外線吸収剤と紫外線散乱剤にわけられます。肌が弱い人は紫外線散乱剤を選ぶようにしましょう。紫外線吸収剤はかぶれを起こすことがあるからです。ノンケミカルと書いてある日焼け止めが紫外線散乱剤です。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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