竹中平蔵氏(C)朝日新聞社
竹中平蔵氏(C)朝日新聞社

記者会見では菅首相の存在感となっている分科会の尾身茂会長(C)朝日新聞社
記者会見では菅首相の存在感となっている分科会の尾身茂会長(C)朝日新聞社

 政府は7月30日、全国的な新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、「緊急事態宣言」の対象地域に埼玉・千葉・神奈川の首都圏3県と大阪を加えることを決めた。期限は8月2日から31日までで、すでに発出されている東京と沖縄も期限を延長する。東京五輪を開催中の都内では新たな感染者が3日連続で3000人を超えている。

【写真】会見で菅首相以上の存在感を見せたのはこの人

 そんな中、慶応大学名誉教授でパソナ会長の竹中平蔵氏が27日、自身のYouTubeチャンネルで政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会(尾身茂会長)に関する動画を投稿し、波紋を投げかけている。

「竹中平蔵【バイアス】コロナ分科会は誰にも止められない!? 政府の政策判断を揺るがす怪現象」というタイトルで、「コロナ分科会の意見がまるで天の声のように扱われる、一部のマスコミが扱う、そして政治批判をする。そのような傾向をきちんと直していかなければいけないと思います」と主張した。

 竹中氏は動画の冒頭で、「コロナ分科会はこれまでも何かあると感染者数を抑えるために、『緊急事態宣言を発せよ』、究極的には『オリンピック・パラリンピックを無観客にする』というような方向に導いてきました。私は大変バイアス(偏見)のかかった問題だと思います」と指摘した。

 その根拠として、医療体制を強化しベッド数を確保することについての議論がほんとんどいないこと、コロナ分科会のメンバーに「本来の専門家である」獣医学部関係者、免疫学関係者が少ないことなどを挙げた。

 また、ワクチン接種が広がった英国を例に出し、「感染者数が多少増えても重症者数や死者数がそんなに増えない。この関係は断ち切ったという事を前提に、経済活動を再開すると宣言した。私もその決定は正しいと思います。バイアスのかかったコロナ分科会の改革をしっかり行わないといけない。コロナ分科会の意見がまるで天の声のように扱われる。一部のマスコミがそれを扱う。そして政治批判をする。そのような傾向をきっちり直さなければいけないと思います」と言葉に力を込めた。

 こうした竹中氏の持論に賛同する書き込みもある一方、「ウイルスについて専門的知識も持たぬ竹中平蔵が、自分の意に沿わぬ、商売の方針に反する意見や施策を行う分科会を敵視し、分科会の印象工作を行っている動画にしか見えない。国民はそこまで愚かではない」との反論も目立った。

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菅首相以上に存在感がある尾身会長