新型コロナの治療にあたるスタッフ(写真提供/東京医科歯科大学付属病院)
新型コロナの治療にあたるスタッフ(写真提供/東京医科歯科大学付属病院)
東京都は1日の新規感染者が3千人を超えた。写真は東京都庁 (c)朝日新聞社
東京都は1日の新規感染者が3千人を超えた。写真は東京都庁 (c)朝日新聞社

 28日、全国の新型コロナウイルス新規感染者数が9000人を超えた。東京都は3177人と、前日の2848人に続き連日最多記録を更新。埼玉、千葉、神奈川でも感染は急拡大しており、政府は3県に緊急事態宣言を出す方向で検討に入った。首都圏の医療現場はいまどうなっているのか。コロナ患者の治療にあたる東京、埼玉の病院の医師に状況を聞いた(取材は27日夜)。

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 東京医科歯科大学付属病院(東京都文京区)病院長補佐の植木穣医師は、27日時点で東京が過去最多の新規感染者数を記録したことについて、「増加速度の速さに驚きますが、これからさらに増える可能性がある」とAERA dot.の取材に答えた。

「日曜、月曜日は感染者数が少ない傾向にありましたが、25日と26日は曜日として最多でした。連休中で検査数が少ないにもかかわらず、大きな数字が出てしまったので、連休が明けて、検査数が増えれば数字がさらに上がることが想像できました。ただ、火曜日(27日)に3000人近くまで上る増加速度には驚きました。4連休で人流が減らなかった影響は、来週(8月2日)以降に跳ね返ってくるかと思います」

 中等症から重症の患者を受け入れる同病院では、27日夜の時点で、重症8床のうち4床、中等症25床のうち21床が埋まっている状態だという。

「7月中旬から常に中等症患者が20人以上います。日によっては、4人が入院して4人が退院していくという、入れ替わりの激しい状況が続いています。重症病床は残り4床ですが、日によっては4人以上の重症化リスクのある患者の受け入れ依頼があり、受け入れを断念せざるを得ない状況にすでに直面しています。もう現場はひっ迫してきています」(植木医師)

 同病院は、東京五輪においてケガや熱中症の疑いがある患者を受け入れる病院の一つにもなっている。植木医師は「現状では通常診療に影響は出ていない」と言うが、第3波のときのように重症者が増えて集中治療室を増床しなければならない状況になるのであれば、「通常診療の一部を制限して対応を強化する必要に迫られる可能性がある」と危惧している。

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