それでも大谷が、このように少しでも調子を落としただけで、現地のファンやメディアがすぐさま反応してしまうのには、全米から寄せられる大谷への関心の高さにその理由がある。



 記憶に新しいのは、6月末にニューヨークで行われたヤンキース戦での出来事だ。このヤンキースとの連戦前、ニューヨークの複数のメディアは大谷の活躍を伝える特集を組んだ。敵地のメディアが相手チームの選手の特集を組むのは異例のことだ。そして、その動きはオールスター後にもさらに加速している。7月22日からの敵地ツインズ戦の前には、ツインズの地元紙『スター・トリビューン』が、「ショータイムが街にやってくる」という記事を掲載している。この様に、大谷の人気が全米で非常に高くなっているため、今の様なちょっとした低迷でも大々的に報じられてしまうのである。

 また現地では、大谷の活躍で生まれる経済効果にも大きな注目が集まりはじめており、それも現地メディアが大谷の不振を騒ぎ立てる理由の一つになっている。

 例えば、現地メディア『AXIOS』が、22日に掲載した大谷翔平のビジネス面での価値を特集した記事によれば、「大谷はまさにMLBが欲していたスターであり、球界に注目と金を集めるゲートウェイになっている」という分析がされている。

 大谷はMLBでもトップとなる年間600万ドル(約6億6000万円)相当のスポンサー契約を結んでおり、オールスターでのグッズ売り上げのうち28%を占め、さらに7月20日には公式ライセンススポーツグッズの最大手であるファナティックスとの独占契約を結んでいる。同紙はこういった動きに対し、「ショー(Sho=翔平とShowをかけている)は始まったばかりだ」と述べ、今後も同じ様な動きが加速していくことを予想する。そうなれば、その成績によって経済的な影響が出てきてしまうため、どうしても今のような状態には敏感になってしまうのである。
次のページ