侍ジャパンの稲葉篤紀監督 (c)朝日新聞社
侍ジャパンの稲葉篤紀監督 (c)朝日新聞社

 野球の侍ジャパンは、東京五輪で期待通り金メダルを獲得してくれるのだろうか。

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 参加国の少なさ、相手チームの本気度、そして無観客開催……。戦前のネガティブ要素は多いが、やはり野球競技での金メダルを期待するファンは多いだろう。しかし、母国開催など有利な条件が揃う中、万が一にも金メダルを逃すようなことがあれば、日本球界にとっては歴史に残るような屈辱的な記憶になってしまう可能性もある。絶対に負けられないというのが球界の思いだろう。

「五輪が盛り上がっているが、中でも侍ジャパンへの注目度はひときわ高い。参加国や出場予定選手を見ても圧倒的に有利です。無観客開催とはいえ自国開催ですから金メダル獲得で野球人気が再燃するはず。NPBはもちろん野球離れが進む若年層にも大きな影響を与えるはずで日本野球の救世主になるでしょう」(NPB関係者)

 過去最高数のメダル獲得が期待されている日本チームの中でも野球は最も金メダルが期待される競技の一つだ。予選グループAに属する侍ジャパンの戦いは7月28日ドミニカ共和国戦(福島)から始まり、順当に勝ち上がれば8月7日が金メダルをかけた決勝戦(横浜)となる。

 いよいよ明日に開幕を迎えるが、いまいち盛り上がってこない感じも否定できない。

「日本球界には追い風になるが、世界的に見れば五輪の野球は価値は決して高くはない。サッカーも同様の時期があったが、今では若手選手の品評会の場所として注目されている。五輪での活躍がビッグクラブ移籍への道にもなる。逆にNPB選手が五輪で活躍しても年齢や契約もありメジャー挑戦への足掛かりになることはない。ケガや故障のリスクを考えれば辞退も当然です」(MLBアジア地区担当スカウト)

「WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)はMLBの世界進出戦略で始まった大会だが、日本国内が想像以上に盛り上がった。東京五輪を盛り上げるためも野球は不可欠。世界的に競技人口が少なく12年ロンドン五輪ではの正式種目から外れたが、今回の追加種目で採用されたのはそのため。次回以降も再び外れるので他国が野球種目に注力しないのは当然です」(在米スポーツライター)

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選手選考でも“モヤモヤ感”