今回の五輪ラグビー日本代表のキャプテンを務める松井千士 (c)朝日新聞社
今回の五輪ラグビー日本代表のキャプテンを務める松井千士 (c)朝日新聞社

 日本中を熱狂させたワールドカップから約2年、ラグビーの世界最高峰の大会が再び国内で行われる。東京オリンピック競技大会のラグビー競技が26日に開幕する。

【ラグビーW杯を感動の渦にまきこんだ立役者はこの人】

 オリンピックでラグビーが実施されるのは、5年前のリオデジャネイロオリンピックに続いて2大会連続。ただし、ラグビーのオリンピックでの歴史は古い。1900年パリ大会、1908年ロンドン大会、1920年アントワープ大会、1924年パリ大会の4大会で実施されている。

 しかし、競技発祥国のイギリスが08年大会を最後に姿を消すなど参加チームは少なく、24年大会を最後に実施競技から外された。最後のオリンピックチャンピオンは連覇を果たした米国だった。

 92年ぶりにオリンピックに復帰したラグビー競技は、2019年のワールドカップやトップリーグ、全国大学選手権、全国高校大会などで広く行われている1チーム15人で戦うラグビーではなく、1チーム7人の「7人制」で行われる。7人制ラグビーは「セブン・ア・サイド」と呼ばれていた時期もあったが、現在は日本国内も含めて「セブンズ」という呼び方が定着している。

 セブンズは選手数が少ないだけではない。試合時間も7分ハーフ(15人制は40分ハーフ)と短い。このため、全ての参加チームが1日に複数の試合を行い、東京大会では30分に1試合のペースでテンポよくスピーディーに大会が進行する。国際オリンピック委員会(IOC)が望む、テレビ中継向きの競技だ。登録選手数も東京大会では13人と15人制(2019年ワールドカップでは31人)の半分以下と、オリンピックの肥大化を嫌うIOCの意向に適合しており、ラグビーの国際統括団体、ワールドラグビーはセブンズに絞ってオリンピックへの復活を目指してきた。

 試合時間は短くても、15人対15人で戦う広さを半分以下の人数で走り回るために、タフさは変わらない。スクラムやモールの押し合いの時間は極めて短く、ボールがパスやランで広く速く動く。防御の人数が少ない分、攻撃側が攻めることのできるスペースは広がり、ステップやスピードなど個人のスキルや能力の見せ場が広がる。観客にとっては、ボールが密集に隠れることがなく、常に動いて躍動感を楽しめる。競技規則はキックオフなどごく一部を除いて15人制と共通だ。

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