東京五輪の開会式で聖火の最終点火者を務めた大坂なおみ (c)朝日新聞社
東京五輪の開会式で聖火の最終点火者を務めた大坂なおみ (c)朝日新聞社

 東京五輪のテニス女子シングルスに日本代表として出場する大坂なおみ。金メダル獲得を目指す戦いに注目が集まるが、同時に彼女の大会中の立ち振る舞いにも熱い視線が注がれるのは間違いない。選手としてのイメージを含め、今後のプロ活動を左右するビッグイベントになりそうだ。

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「東京オリンピックは出場します。なぜなら、日本は私が生まれた国であり大切な母国だからです。日本での思い出はたくさんあり、私の生き方や考え方に影響しています。今回、日本代表としてオリンピックに出場できることに誇りを持っています」(大坂/7月6日マネジメント会社発表)

 五輪前、大坂は日本への強い思い入れ、そして金メダル獲得への強い気持ちを感じさせるコメントを発した。約2カ月の欠場明けで試合勘など不安もあるが、東京五輪は得意なハードコートで行われることもあり、悲願達成の可能性は高いと見られている。

「順当なら優勝候補。コロナ禍もあり多くのトップランカーが出場を見送ったのも追い風です。世界ランク1位はアシュリー・バーティ(オーストラリア)に譲ったが、(全仏やウィンブルドンでの)欠場がなければ1位だったはず。五輪はプロとしての商品価値、存在価値を判断される大会。現在の状況は本人も理解しておりメダル獲得はもちろん、様々な意味での名誉挽回に燃えている」(在米スポーツライター)

 グランドスラムでは全米2度(18、20年)、全豪2度(19、21年)の優勝など、WTAツアーにおけるシングルスでの勝利数はこれまで「7」。19年には世界ランク1位に登りつめるなど、テニスの実力は疑いの余地はない。

 しかし一方で、言動に賛否の声が上がることは多い。昨年9月の全米オープンでは、黒人に対する人種差別や、警察による暴力の犠牲者となった人物の名前が書かれたマスクを入場時につけて現れ、スポーツ選手が「政治的メッセージを出すべきではない」との批判を招いた。

 また今年5月の全仏オープンでは、大会中の取材拒否をめぐる一連の行動で世間を騒がせた。「アスリートの心の健康が侵されている」と自身のツイッターで一方的に取材拒否を宣言し、実際に1回戦勝利後の会見をボイコットして主催者側から罰金を科されている。

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“アンチ”も多いが影響力は抜群