打線も森岡良介、堂上剛裕、平田良介、新井良太、上田佳範の甲子園組がズラリと並び、前出の巨人戦では、堂上剛のソロで1点差に追い上げたあと、森岡の2ランで逆転、平田がダメ押し2ランと効果的な3発でねじ伏せた。MVPは5回からリリーフし、5回を4奪三振無失点に抑えた吉見。投打がガッチリかみ合っての勝利に、辻発彦2軍監督(現西武監督)も「勝つためにどうすればいいか、意識づけしてきたことを、選手が試合で出してくれた」と最大の賛辞を贈っている。

 09年の日本ハムも、30本塁打の中田翔、20本塁打の鵜久森淳志、14本塁打の陽仲壽(岱綱)の超重量級打線に加え、エースも吉川光夫とタレント揃いだったが、シーズン成績は49勝55敗のイースタン5位と振るわず。15年の広島も、グスマン、エルドレッド、シアーホルツの年俸総額3億円超のクリーンアップが話題になったが、東浜巨や上林誠知ら投打のバランスの取れたソフトバンクに5.5ゲーム差の2位に終わった。

 のちの大物選手や強力助っ人がいたからといって、必ずしも勝てるわけでもないのが、2軍の面白さでもある。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2020」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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