■海の家と住民との間に過去トラブル

 編集部は、あらためて鎌倉市に事実確認をした。すると、前述した5月21日の海浜組合との話し合いで副市長は、「コロナ禍における状況認識を前提に考えると、海水浴場の開設によって良好な治安環境を維持することができず、地域住民の理解を十分得られない状況下では開設すべきではないというのが今のところの考え」だったと市側から回答。その上で、市民との意見交換会でディスカッションしたかった、と。

 話し合いがあった5月下旬は神奈川県下で緊急事態宣言が発令中でもあり、コロナ禍での海開きについては確かに難しい判断が迫られたであろう。加えて6、7年前、海の家が大音量で音楽をかける「クラブ」化問題が持ち上がり、周辺住民から猛烈に批判されたこともあった。もし、副市長が指摘したように、海の家と周辺住民との間の信頼関係が欠落しているのであれば、コロナ禍の海開き「断念」もやむなしと言えよう。

 しかし、増田さんはこう説明する。

「クラブ化問題がきっかけで、周辺自治会の会長と膝を突き合わせて話をする機会を繰り返し設けてきました。いまでは非常にいい関係です。市としてはクレームの原因は『海の家』にあるとしたいのでしょう……」

 言い分はそれぞれにあるが、来夏こそは美しい鎌倉の海が楽しめることを願いたい。(文/AERAdot.編集部・米倉昭仁)