入国したウガンダ選手団(C)朝日新聞社
入国したウガンダ選手団(C)朝日新聞社

 東京五輪のために来日して行方不明になっていたウガンダ人選手が7月20日に三重県で見つかり、21日にも帰国することになった。

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 大阪府泉佐野市にある事前合宿のために用意されたホテルから16日、姿をくらまし、行方不明になっていたのは、ウガンダの男子重量挙げのジュリアス・セチトレコ選手(20)。大阪府警と三重県警の警官がセチトレコ選手を三重県四日市市内で20日に発見した。

 コトの発端は、全選手が義務づけられているPCR検査をセチトレコ選手に求めようとしたところ、16日に姿が見えないことに気づいたという。

 泉佐野市から大阪府警に連絡が入り、調べたところ、16日早朝、ホテルから徒歩で15分ほどのJR取駅で、「新幹線の切符を買いたい」と駅員に尋ねた人物が、セチトレコ選手と確認。その後、新大阪駅を経由し、名古屋駅に向かったことが確認された。

 当初、東京五輪に出場予定だったセチトレコ選手だが、事前合宿後に世界ランキングの順位が下がり、出場資格を失ってしまった。20日にも日本を離れ、ウガンダに帰国することが決まっていた。

 そのショックもあったのか、セチトレコ選手はホテルの部屋に次のような内容のメモを残していたという。

「生活が厳しいウガンダには帰りたくない。妻や子どものために日本で仕事がしたい。荷物はウガンダの妻に送ってほしい」

 大阪府警は行方不明者として届けを受けて捜索に乗り出した。

「セチトレコ選手がいなくなったことに気がついた16日は、まだ本人に携帯電話で連絡がとれていた。だが、それ以降は不通になった。五輪で来日している選手の身にもしものことがあればと、捜索することになった」(捜査関係者)

 また、ウガンダ選手団は日本に到着した際に、新型コロナウイルスの
陽性者がいたことで大騒ぎになった。東京五輪・パラリンピックの組織委員会幹部は言う。

「セチトレコ選手は来日時、PCR検査では陰性だったが、万が一のことも考えられる。そこから他の人に感染なんてことになれば、それこそ五輪中止になりかねません。ヤバイと思った」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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発見時に涙を見せたウガンダ選手