中学受験成功のために欠かせない家庭学習だが、親があれこれ言って嫌々勉強させるのではなく、「自学」できる子に育てることが大切だという。そのために親はどんなサポートをすることが必要なのだろうか。AERAムック『偏差値だけに頼らない 中高一貫校選び2022』では、人気の中学受験塾の代表に話を聞いた。

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「中学受験で大切なのは、『自学できる子ども』を育てることです」

 中学受験塾の代表として、長年受験生の指導や教育相談に携わってきた松島伸浩さんは、そう断言する。自学できる子どもとは、勉強を「自分のこと」として受け止め、向き合える子どものこと。人は自分で決めたことを自力で成し遂げたとき、達成感を得る。中学受験でも、子どもが自らの意思で勉強に取り組み、成長を実感することがさらなる成績向上やモチベーション、最終的には志望校の合格、中学入学後の学習意欲にもつながるという。

「自学ができるようになるための第一歩は、学習計画に沿って勉強する習慣を作ることです。低学年では生活習慣を身につけることを目標に、楽しみながら日々のスケジュール管理から始めてみましょう」(松島さん)

 用意するツールは、子ども向けの手帳や家族で利用できるホワイトボード。そこに起床、登校、下校、夕飯、就寝など生活の軸となる時間と、習い事、勉強時間を書き込む。勉強時間は「夕飯前に30分間計算練習」というように、だいたいの枠を決めればいい。

「ホワイトボードを使う場合は、ぜひ家族やきょうだいの予定なども一緒に書き込んで。計画通りに一日を過ごせたら、シールやマグネットを貼るなどの“ごほうび” をプラス。小さい子どもには、こういった雰囲気作りも効果的です」(松島さん)

 多くの子どもが塾に通いだす4年生からは、日々の学習に焦点を当てたスケジュールを1週間ごとに作成していく。松島さんの塾では、4年生以上の子どもたちが「自学ノート」と呼ばれる学習計画帳を使い、スケジュールを管理しているという。

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木下昌子
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