音楽グループ「ドリカム」(DREAMS COME TRUE)の吉田美和さんにも期待を寄せる。90年代から現在に至るまでエンターテイメントの第一線で活躍してきた人物だ。原田さんはこう見る。

「あの歌唱力は圧倒的。日本人の中でもトップクラスでしょう。アカペラに近い状況でもひき込むような魅力がある。世界の人たちが聞いても、輝く歌声だと思います。音楽にも真っすぐと打ち込んでいるアーティストで、そのクリーンさを踏まえても適任だと思います」

 国歌斉唱について取材をするスポーツ紙の記者は「国際的な知名度も重要」と見る。アメリカの放送局が巨額な放映権料を払っており、特にアメリカでの知名度が重要だという。スポーツ紙記者はこう語る。

「韓国のBTSみたいに世界的に活躍している旬なアーティストがいないのが悩みどころですね。旬なところで言えばLiSAやONE OK ROCK(ワン オク ロック)、が有力候補です。歌唱力を重視するなら宇多田ヒカル、布袋寅泰が挙げられます」

 LiSAは、世界的にヒットしたアニメ『鬼滅の刃』でオープニング主題歌「紅蓮華」を歌い、日本にとどまらず、アメリカや世界でヒットをした。ワン オク ロックも世界で活躍する人気ロックバンドだ。宇多田ヒカルはアルバム『Fantôme』は全米iTunesで最高位3位になったり、ギタリストの布袋寅泰はヒット映画『キル・ビル』のテーマ曲を作曲するなどの実績がある。

 いずれのアーティストも国歌斉唱という重役を務める可能性は十分ある。ただ、ワン オク ロックは22日から25日まで河口湖(山梨県)でライブを予定しており、開会式への参加は難しそうだ。ここであえて“大穴”となるようなアーティストを聞いてみた。先の原田さんは「星野源さんはあり得る」と見る。

 星野さんと言えば、今年5月に女優の新垣結衣さんと結婚を発表。日本中を騒がすニュースとなった。19年にはミュージシャンとしてニューヨークや上海、台北などでワールドツアーを行っており、世界的な活動を視野に入れている。

ドラマで人気を集めて、歌手としても売れて、最も人気のある女優とも結婚して、いま乗り乗っているところです。今回大抜擢されれば、『超ラッキーボーイ』として世界でもコメントが飛び交うのではないでしょうか」(原田さん)

 予測は当たるか。開会式に注目だ。(AERAdot.編集部 吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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