「いいからやれ!」とは言えない時代になりました(写真:hinooto / PIXTA)
「いいからやれ!」とは言えない時代になりました(写真:hinooto / PIXTA)
西野一輝(にしの・かずき)/経営・組織戦略コンサルタント。大学卒業後、大手出版社に入社。ビジネス関連の編集・企画に関わる。現在は独立して事務所を設立。経営者、専門家など2000名以上に取材を行ってきた経験を生かして、人材育成や組織開発の支援を行っている。
西野一輝(にしの・かずき)/経営・組織戦略コンサルタント。大学卒業後、大手出版社に入社。ビジネス関連の編集・企画に関わる。現在は独立して事務所を設立。経営者、専門家など2000名以上に取材を行ってきた経験を生かして、人材育成や組織開発の支援を行っている。

 あなたの周りにムダにやる気を下げてくる人物はいないだろうか? 経営・組織戦略コンサルタントの西野一輝氏は、こうしたやる気を下げてくる人物への対策を『モチベーション下げマンとの戦い方』(朝日新聞出版)として上梓した。今回のテーマは「言うことを聞かない部下」について。本書より抜粋、再構成して紹介する。

【5つの特徴】カスタマーハラスメントに注意!

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 部下に「何でこんなことをしなきゃいけないんですか」とか「これやって何の意味があるんですか」と言われたことはないでしょうか。

 昔ならその質問自体がタブーであった気がします。極論で言えば「仕事とは社会の理不尽に耐えるものだ」というふうに教えられた時代がかつてありました。
「何でこんなことをやるんですか」と言える余地はなく、「そりゃやるんだよ」という空気が当たり前のようにありました。

 もっと言うと「それも含めて仕事なんだ」と言われたものです。なぜそれが必要なのか?ということを考えないという能力を身につけさせられたのです。

 たとえば「この資料は不要だから破棄してくれる?」と上司や先輩から言われれば「何でですか」と聞いてはいけません。「はい、破棄します」で十分。破棄する方法は考えても理由は考えません。

 ところが、いまの若手社員たちは「仕事の意味」を考えることが何となく身についています。最近は学生時代に情操教育を受ける機会が増えてきたようです。物事を観察し、変化が起きたとき、「なぜこうなるの?」と不思議に感じ、「なぜそうなるのかを知りたい」と自分で考える心を養われているからかもしれません。

 だとすれば、先輩社員や上司の考える仕事の進め方と対極にあるともいえます。

 そんな価値観の違いからカチンときたり、モチベーションが下がったりする悩みを聞くことがあります。

「今日中に仕上げてくれる?」と言えば、「どうして今日中なのですか?」と返されることが繰り返されて、気持ちがめいると話してくれた先輩社員がいました。

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西野一輝(にしの・かずき)/経営・組織戦略コンサルタント。大学卒業後、大手出版社に入社。ビジネス関連の編集・企画に関わる。現在は独立して事務所を設立。経営者、専門家など2000名以上に取材を行ってきた経験を生かして、人材育成や組織開発の支援を行っている。

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