小山田氏の発言があった当時を“昔はこういう時代だった”では決して済まされることではない。また、今の若い世代はいじめという問題に我々よりもずっと敏感です。その辺の世代間ギャップはものすごくあるのかなと思った。

 そうした様々な点からしても小山田氏の起用は完全にアウトだったと思う。たしかに、僕の学生時代にもいじめはありました。小山田氏は障害者に対するいじめにも言及していましたが、それも自分たちの世代でありました。僕の中で確固たるものは、障害者いじめは、いじめって言葉で片づけられない“差別”です。

 僕の子どもの頃、普段は一緒にクラスで過ごして、授業中は別の教室に行く障害のある子はいました。その子に不満や文句を言っていたことがなかったかと問われたら、あったのかもしれないが、当時のガキの僕にもそこには葛藤があった。小山田氏のいじめ告白には葛藤も何もないでしょ。

 いじめ告白ってなっているけど、これは完全に差別だと思う。小山田氏に仕事を提供している場所がパラリンピックでもあった。多様性をテーマにしているのに、そこで仕事をするのはまずあり得ない。小山田氏の辞任はやむを得なかった。

 相変わらずというか最後の最後まで東京五輪ってゴタゴタしていて、最初はエンブレムの問題からでしょ? ここへきてもまだ東京五輪は“賛成”か“反対”か分断が起きている。どうして、ここまで東京五輪は“やる”“やらない”になってしまったかと言えば、余りにもトラブルが起き過ぎた。それに対してあまりにも説明不足だった。

 最初のエンブレム問題に始まり、ボート・カヌー会場の件もそう。小池さんは、東京五輪には使用できないと決まっていたボート・カヌー会場の宮城県にメディアを連れて調査に行きましたよね。結局、復興五輪と言いながら宮城県はボート・カヌー会場にならなかったのは元々決まっていたから。マラソン水泳とトライアスロンの競技場のお台場前で大腸菌が基準値の20倍出た水質汚染問題。これも、改善できていないまま悪臭の中を選手たちはお台場周辺の海域を泳ぐわけですよ。ずっとゴタゴタ続き。

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ネットが普及している時代では”こうなるよ”