■いい緊張はいい表情に現れる

 一般的に、アウェーの試合よりも、観客の声援のあるホームゲームのほうが有利と言われるが、それは実際、よくあることで、心理学的にも説明できるという。

「日本人選手にとってはやはり、自国の観客からの応援があるほうがそのプレッシャーをポジティブに認知して活躍しやすい。逆に他国の選手にとっては本来の意味でのプレッシャーになる。不安や緊張が高まるので気持ちの切り替えが必要になってきます。そういうことを踏まえると、今回の無観客試合は外国の選手に対して有利に作用することはあると思います」

 ちなみに、プレッシャーがよい効果を生んでいるとき、選手の体は適度に緊張して、とてもいい表情になるという。

「すごくいい緊張状態で、『いける』みたいな感じの表情が現れます。言葉ではなかなか表現しづらいのですが、そんなときは『今日のあなたはとても男前』って、選手に声をかけるんです」

 もうすぐ、五輪が開幕する。会場に足を運んで応援できないのはとても残念だが、各国の選手たちが最高にいい表情で試合に臨むのを期待したい。(AERA dot.編集部・米倉昭仁)