そんなアメリカ社会の中で、これまでのベーブ・ルースのような象徴的存在ではなく、日本出身という異なるバックグラウンドを持つ大谷がメジャーの舞台で大活躍することは、MLB機構にとっても何よりも大きな宣伝になる。

 事実、現地ではアジア系住民を中心とした多くの新たなファンが、大谷から勇気をもらったとしてその活躍を応援してくれている。もちろん、大谷には有色人種以外のファンも多い。この多様性こそがMLB機構が思い描く理想そのものである。

 MLB機構は今後も公式SNSアカウントや大谷の公式インスタグラムを通して、様々な大谷のコンテンツを提供していく予定だ。当然、各種プロモーションや関連グッズといった商業目的のものも出てくるかもしれないが、引き続き大谷を大きく取り上げてくれることは、ファンにとってなによりも喜ばしいことではないだろうか。

 もちろん、それには大谷のさらなる活躍が必要不可欠ではある。だが、今の大谷にその心配をする必要はないだろう。これから始まる後半戦では大谷はどんな活躍を見せてくれるのか、そしてMLBはどのようにその活躍を後押しするのか、今後もこの全米中を巻き込む大谷の活躍に注目していきたい。(在米ジャーナリスト・澤良憲/YOSHINORI SAWA)